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森で聴いたオカリナの音色に魅了されて以来、オカリナを吹き始めておよそ1年が経った。自分だけのオカリナが欲しいー!という訳で、オカリナの自作にチャレンジしてみた。

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(上:4作目「D管」 下:5作目「C管」)

オカリナって陶器というイメージがあって、なかなか手作りのハードルが高いのですね。でも、あるきっかけで本気で作ろうと思い始めた。まず、焼き物の粘土や道具の下調べをしようと僕の行きつけの店「アークオアシス仙台泉店」へ。

そこで目に留まったのが、石粉粘土ってもの。(ダイソーでも売ってた。)
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店員さんに聞けば、「乾くと陶器の素焼きみたいな感じになるんですよ」だって。

設楽焼きとかの粘土で作る前に、この粘土で形だけでも作る練習のつもりで買って来たのだけれど、作り始めると色々と工夫をしなければいけない事があったりして楽しくなってきた。

最初に作ったのは、以前の記事の中で動画をアップしているけど、実は音が出るのは上の「ド」までで、「レ」以上の音は「フーースーーー」って音が出ないオカリナだった。4つ目でようやく上の「レ」以上の音が出るオカリナを作ることが出来た。



やっぱりオカリナって森で吹くのが一番良いですね!
しかも、僕が「出した音」ではなく、僕が「作った音」が森の風に乗って森の空気と同化するのですから、楽しくって仕方ありません!

===石粉粘土オカリナ(5作目) 製作日記===

<1日目>

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出来上がったものに色を塗るつもりで買って来たアクリル絵の具だけれど、粘土に練り込んだら青磁器のような模様になるかも?って思ってやってみました。(冒頭の写真)

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適当にオカリナっぽい形を作ります。
オカリナは息が共鳴する空洞の容積で音域(キー)が決まるので、動画をアップした「テキトーな大きさで作り、結果的にD管」(ドの押さえ方をした時にピアノのレの音になる)になったオカリナ」(冒頭の写真の上のモノ)より、少し大きめに作れば「C管」(ドの押さえ方をした時にピアノのドの音になる)になるはず。

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自分の手に合わせてトーンホール(指穴)の位置を決めます。
1日目はここまでにして、表面の粘土がやや乾燥するのを待ちます。

<2日目 朝>
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表面がやや乾いて来たら、テグス糸で真ん中にしるしをつけてカッターで表面部分に切れ目を入れます。

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最初からテグス糸で切ろうとすると余計な力がかかってしまい、型が崩れてしまいます。

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中のほうはまだ柔らかいので切れ目からテグス糸を使って半分に切断します。

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半分にしたら、もう少し表面だけ乾かす(固くする)ために切断面にラップを張ってもう一日乾燥させます。

<2日目 夜>
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内部の空洞になる部分を削り取るためにカッターで縁取りをします。

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厚みが均等になるように粘土を掻き取ります。

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掻き取りが終わったら、表面(外側)はもっと固く、内側はやや固くなるように

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こんな感じで、また一日乾燥させます。

<3日目 >

石粉粘土でオカリナを作ると、吹き口のところが唾液や息の水分によってべとべとになってしまうという欠点があるようですね。僕もそうでした。最初のオカリナは吹き口の内部に液体接着剤を塗ってべとべとにならないように工夫したのです。

ショップの粘土担当の方に相談したら、なかなか良さそうな粘土を教えてくれました。でも、その粘土でオカリナを作るのは難しく断念したのですが、吹き口の部分だけその粘土を使うとイイんじゃない?って思って、
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こんなの作って、
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吹き口になる部分に埋め込んでみました。

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歌口の穴を空けます。

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別な粘土で作った吹き口を埋め込み、吹き口と歌口の大まかな形を作ります。
吹き口と歌口のバランス、歌口のエッジの作り方は↓↓このサイトを参考にさせてもらいました。
オカリナの作り方教室
オカリナの作り方



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指穴を開けて行きます。

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内側のバリを取ってきれいにしたら、更に加工しやすくするために、もう少し乾燥させて固くします。


<4日目>
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内側が乾き程よい固さになったら

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張り合わせる形作りの段階に入ります。

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埋め込んだ吹き口のパーツはこんな感じに。

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乾燥すると歪みが出てしまいますが

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カッターで簡単に削ったり、粘土を足したりして形を調整します。

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こうして簡単に加工できるのが石粉粘土の便利な所ですね。

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張り合わせる前に歌口の調整です。

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オカリナ作りで、一番のキモになるのがこの工程です。下半分(歌口のあるほう)の切断面を手で覆って息を入れてみますが、まだノウハウが確立されていないので最初は全く音が出ないのです。
この段階では、まだ粘土が完全に硬化していないので、吹き口の出口部分や歌口のエッジの角度や高さを調整して行きます。
手作りオカリナのサイトを調べてみても、どこをどう調整するのかわかりませんでしたが、やってみると僕も「どこをどう調整したのか?」書くことが出来ません。とにかく、あーでもないこーでもないを繰り返し「ピューー!」って音がでる偶然を探します。音が出た時の嬉しさってタマラナイですよ!心の中で「やったー!」って叫んでしまいます!

この歌口の調整ってホントーに微妙です。エッジの高さをちょっと下にして音が出たから、もうちょっと下げてみるとまた音が出なくなったりします。

オカリナの音が出る仕組みって流れる空気(息)の振動と共鳴な訳ですから、どんな角度でどんな流れで風を切ったら?音がでるのだろう?って自分が風になったつもりで考えながら調整しました。(これ大事!)

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とりあえず音が出るようになったら、歌口を乾燥させるために形が崩れないようにマスキングテープで仮止めをして、また乾燥させます。

<5日目>

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貼り合わせの作業に入ります。

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歌口も乾燥するとまた音が出なくなったりするので最終調整です。

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今開いている穴は仮の穴で、音階に合わせて穴を広げて行くのが前提なので、あとから広げやすくするために穴の内側を薄くしておきます。

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水で緩めベトベトにした粘土を接着剤にして貼り合わせます。

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この段階で指穴を全部押さえて息を入れてみます。今回作ろうとしているのは「C管」ですから、全閉の時に下の「ラ(A)」の音が出れば、「ド」の押さえ方をした時にピアノの「ド(C)」音になる訳です。

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「ラ#(A#)」でした。狙っていた音よりもちょっと高いですね。つまり、空洞の容積がちょっと少ないということ。

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接着面をはがして、中の粘土を削り取り空洞の容積を大きくします。

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大体の感覚で粘土を取り除き、また張り合わせてチューナー(スマホアプリ)で音程の確認を繰り返します。

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「ラ」になりました。これで「C管」の音程になったということ。このあと形を整えるために削ったり磨いたりするので、今くらいの針の位置だと最終的には真ん中になるはず。あとの音階は小さめに開けた穴を広げて行くだけですから簡単です。

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貼り合わせた接着剤としてのはみ出した粘土を取り除き、

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カッターナイフで粗削りして形を整えます。

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こんな感じで形が整ったら、

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紙やすりで細かい凹凸を取り、表面を滑らかにします。写真は240番ですが、このあと800番から1200番とだんだん細かくして滑らかさを出して行きます。

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乾燥した石粉粘土を水拭きで仕上げるとツルツルになります。

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この写真ではツルツル感がイマイチですが、ツルツルのピッカピカになります。

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触った感触は、素焼きや釉薬をかけたものとは違う独特のツルツルした心地よい肌触りです。

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この粘土細工を楽器とするために、チューナーで一つずつ確認しながら指穴を削り広げて行けば良いだけなので、あとは簡単ですね。この写真は「レ(D)」の音を作るために右手の小指の穴を広げているところです。

こうして、楽器としてのオカリナを石粉粘土で作れるようになりましたが、音色や音の大きさとか、まだまだ改善の余地はたくさんあります。形や肉厚を変えてみたり、内部の凹凸とかを工夫すれば音色は変わってくるはずで、もう少し石粉粘土のオカリナ作りを続けてみたいと思っています。

最後に、石粉粘土オカリナを作る際に僕が気を付けた点をいくつかあげておきます。
・一日で仕上げようと思わない。ある程度の固さがないと形は崩れるばかりで、きれいな形作りが難しくなります。
・音が出るようになったら、何度も音を出さない。息で歌口のエッジとかが柔らかくなり型崩れして音が出なくなる場合がある。
・調律の時は面倒でもいちいち吹き口に付いた削りカスをエアーで飛ばしてから吹いてみる。削った粉が吹き口(ウインドウェイ)に付着し息でベトベトになって音が出なくなったりする。


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さあ、自分で作ったオカリナ持って、森に出かけてみましょう!
買ったオカリナで「出した音」ではなく、自分で「作った音」が風に乗って森に沁みわたる心地良さを感じることが出来ると思いますよ!


ご質問や説明不足の点がありましたら、お気軽にコメントくださいね。

by mt1500funagata | 2019-05-29 22:12 | 手作りの逸品? | Trackback | Comments(2)

105歳のブナ林~商人沼

国道347号線、鍋越トンネル入り口から1Km ほど手前(宮城側)にとっても美しいブナの二次林が広がっているところがある。
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ブナの二次林はいろんなところにあるけれど、大正時代に伐採された記録が正確に残っている場所は少ない。
この森が一度伐採されたのが大正2年(1913年)のこと。

という事は、このブナの年齢は105歳という事ですね。
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僕が初めてこの森を訪れたのは、このブナたちが88歳の時。

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標高450m~500mくらいの所だけれど、こんな雪が残っているのを見ると、この辺は宮城県内でも豪雪地帯なのだなあという事がよーくわかる。

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まーー!とっても気持ちのイイブナ林だこと!

僕ら人間が木漏れ日の中を散策して歩くのにはとっても気持ちが良くて周りのブナたちも穏やかに立っているように見えるけれど、実はブナ同士の熾烈な生存競争が繰り広げられているところでもある。

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ブナ平のように巨木が多いブナ林は、もっとブナとブナとの間隔が広いですね。

ここのブナ林もこれから200年~300年に渡って弱いブナは淘汰され、生存競争に打ち勝ったブナだけが残り、ブナ平のような巨木の森を形成して行くのである。

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仲良く並んだ新芽の兄弟も
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まだ帽子が脱げない赤ちゃんブナも、よっぽどの幸運に恵まれなければ巨木に生長することは出来ない。

この森を歩いた人は口をそろえて言うだろう「うわー素敵ねえ~!癒されるわー!ブナの赤ちゃんカワイイわー!」って。
僕も言った。
自分たちは厳しい生存競争の真っただ中にいるにも関わらず、僕らに大きな癒しを与えてくれるブナたちに。


美しいブナ二次林を抜けた先には美しい沼が待っている。
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商人沼(あきんど沼)
御法度品を隠して鍋越峠を越えようとした商人が、ヤバイと思って商品を沼に投げ入れたからとか、番所で商人から没収した御法度商品を投げ捨てたからとか謂れののある沼だけれど、今日は穏やかに青空と周りの新緑を映しこむ美しい沼だった。

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by mt1500funagata | 2019-05-25 23:02 | 船形山界隈 | Trackback | Comments(3)

昨年の秋、当ブログで連続して取り上げ、新聞テレビ等でも報道された船形山山麓風早峠付近の餌付けされてしまったキツネ。
このキツネのことを案じ関心を持って考えてくれた皆さまへの報告です。
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大和町立吉岡小学校の週末課題の題材として取り上げられていました。

当ブログの読者で、吉岡小学校の卒業生のご父兄の方からお聞きするまで僕も知りませんでした。
昨年秋の6年生の週末課題。ひとつの新聞記事を週末に持ち帰り、その記事について自分の感想や考えを述べるという宿題のテーマとして、風早峠のキツネの記事が取り上げられたという話です。
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吉岡小学校といえば、僕も卒業生の父兄の一人であるし、学校登山やPTAのハイキングの引率をしたこともあり全く無縁ではありません。
当時のことを学校に問い合わせてみたところ、担当された先生は残念ながら転勤されてしまい詳しい話を聞くことは出来ませんでしたが、教頭先生が昨年の6年生の担任の先生方に当時のことを聞いてくれました。
子供たちの反応は、「人間が餌を与えることは野生動物にとっていけない事だと分かった」とか「見た目は可愛いが、距離を置くことが必要だ」と言うような、「餌やりはやめよう」と言った意見が大多数だったとのことでした。
当時の児童数はおよそ130人、少なくともこの子供たちに野生動物へ餌を与えてはダメという事がインプットされたという事ですね。

課題のテーマとして、この記事を取り上げてくれた吉岡小学校に拍手を送りたいと思っています。



by mt1500funagata | 2019-05-22 20:34 | Trackback | Comments(2)

サンタ、マグノリア、枝にいっぱいひかるはなんぞ
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天に飛び立つ銀の鳩・・・・ホオノキ(Magnolia obovata)

セント、マグノリア、枝にいっぱいひかるはなんぞ
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天から降りた天の鳩・・・・タムシバ(Magnolia salicifolia)

(けわしくもきざむこころの峯々みねみねに いま咲きそむるマグノリアかも。)う声がどこからかはっきり聞えて来ました。


そらいっぱいにきんきん光ってただよ琥珀こはくの分子のようなものを見ました。
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それはさっと琥珀から黄金にかわりまた新鮮しんせんみどりうつってまるで雨よりもしげって来るのでした。


雪がけてきたのでした。太陽たいようみがきたての藍銅鉱らんどうこうのそらに液体えきたいのようにゆらめいてかかりけのこりの雪はまぶしくろうのように谷のあちこちによどみます。
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「ほんとうにここはたいらですね。」
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「ええ平らです。けれどもここの平らかさはけわしさにたいする平らさです。ほんとうの平らさではありません。」

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「そうです。それは私がけわしい山谷をわたったから平らなのです。」

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「マグノリアの木は寂静じゃくじょうです。あの花びらは天の山羊やぎちちよりしめやかです。あのかおりは覚者かくしゃたちのとうとを人におくります。」

=※宮沢賢治「マグノリアの木」より=


日曜日に歩いた船形山升沢登山道。今日も歩いて升沢小屋まで行って来た。
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県が予定している事業の現地調査の案内役だった。
とは言っても、同行した人は気さくで、僕は堅苦しい立ち振る舞いをする必要がなかった。

登山口で一緒になった蛇ケ岳へ向かう山遭協大和支部のチバ隊長と瓶石沢まで一緒に歩き、久しぶりにゆっくり話すことも出来た。
不動石の鳥居の再建に尽力した船形山岳会では、大仕事を終えたヨコタ会長が勇退し新しくチバ会長が就任したとのこと。
山遭協大和支部の隊長もチバ、船形山岳会の会長もチバ、升沢小屋の管理人もチバ・・・って、船形山はチバばっかり!

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三光の宮付近のブナも薄緑に染まって来ました。




by mt1500funagata | 2019-05-18 22:13 | 船形山界隈 | Trackback | Comments(0)

駆け上る緑
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今日は「船形山のブナを守る会」残雪の蛇ケ岳観察会の日。

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新緑のブナ林から始まる残雪の山歩きに28人の会員が集まった。初めて参加してくれた方も4名いたのだけれど、ブナの会の会員資格は「ブナを想う人」たったこれだけ。入会申し込みも入会金も必要ない。自分は「ブナを想う人」であって、ブナの会に参加しようと思った時にはすでに会員となっている訳で、単に初めて一緒に行事に参加したというだけで、この4名の方もすでに立派な会員なのである。

そろそろ見ることができるかなあ~と思っていたオトシブミもすぐ見つかった。
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毎度のことなのですが、小さな昆虫が卵を守る知恵と葉で包み込む器用さ、そして「落とし文」と名付けた先人のセンスには感心するばかりなのである。

順調なペースで歩みを進め、ほぼ予定通りに蛇ケ岳の雪渓へと入った。
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これ以上ないような天候に恵まれ、雪渓越しに栗駒山や神室連峰の峰々が見える。

蛇ケ岳の名前の由来を県立図書館にある日本山名大辞典(だったと思う)という書物で調べてみたことがある。そこには山岳信仰で船形山・三峰山(坊主岳)・蛇ケ岳の三山めぐりがかつて行われていて、ジャガ岳は釈迦が変じて蛇ケとなったと記載されていたように記憶している。僕は当時からその説には疑問を持っていて、違うんじゃないかなあー?って思っていた。まず、山岳信仰(修験道)は仏教がもとになっているわけだけれど、釈迦の存在はそれほど大きくない。大日如来や薬師如来のほうが表に出てくる。もう一つ、僕が率直に思うのは船形連峰の北東側(三本木や中新田、色麻など)のほうから見ると、この広い雪渓が残雪期には白蛇が山に向かうような姿に見えるからである。今回参加の色麻町在住の方も山に白蛇が現れるのを田んぼ仕事の目安にしていたらしいというようなことを言っていた。だから僕は釈迦が変じてジャガになったと言うよりは、残雪の白蛇が現れる山だから蛇ケ岳と呼ばれるようになったのではないかなーと思う訳なのである。

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蛇ケ岳山頂からの船形山本山。

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広い雪渓をそれぞれに楽しみながら下山した。

下山の途中、休憩の時にKさんが笹の花を見つけた。
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これはチシマザサだけれど、イネ科だけあって昔飢饉のときにはこの笹の穂を米の代わりに食したらしい。熊笹って言う人も多いけれど、クマザサは隈笹であって葉の周りが隈取りしたように白くなっているのがそうであって、東北の山岳地帯に生えているものではない。

こんな話を聞けるのもブナの会の山行の良さである。
天候と参加メンバーに恵まれた、良い一日を過ごすことができた。

解散後、七つ森のほうにウラシマソウを探しに行った。去年だったか一昨年だったか偶然見つけた立派な株だった。
今年も咲いているだろうか?
案外、人の記憶なんてあてになるものではないということを前回も経験した。今年もそうだった。夕暮れ時の七つ森で宝探し。
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やっと探し当てた、たった一株。咲いててよかった。




by mt1500funagata | 2019-05-12 22:21 | ブナの会行事 | Trackback | Comments(3)

岩魚御膳

新緑に包まれた沢に向かう途中、早朝の嘉太神で
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のっけから表題とは裏腹でウンチの写真で申し訳ないけれど、ツキノワグマのウンチも緑に染まっていた。

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棒で突っついてみると、笹のタケノコ?笹の子でいいのかなあ?
においは?全然臭くない。普通に笹の匂いだ。ツキノワグマは本来肉食獣であるから腸が長くないんですね。だから植物繊維なんかはほとんど消化せずに素通りしてくる。初夏には桑の実だらけのウンチを良く見るようになるけれど、もし見つけたならば匂いを嗅いでみるといい。甘酸っぱいフルーティーな香りがしますよ。

さて、表題の岩魚御膳だけれど、どこかに食べに行ったって話じゃない。
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新緑のブナ林を仰ぎ見て、尾根を越え、崖を下り、
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こんな沢から御膳となる岩魚を獲ってくるっていう話。

沢沿いには
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清楚で可憐な花

沢から崖の上を見上げれば
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透過光に新緑がまぶしいブナ林

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ガーデニングのような倒木があったりする。

イワナを獲るために沢に来ている訳だけれど、まあこんな誰も来ないような沢だったら、そこそこ釣れるのは当たり前の話しだし、釣りは今日の岩魚御膳の準備段階な訳で、10尾くらい釣ったところで僕の釣りスイッチはオフになってしまった。
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今日の僕は大きい岩魚を釣る事よりも、こんな赤ちゃん岩魚と出会えた事のほうが嬉しかったりする。優しくいい子いい子して大きくなれよと流れに返してあげる。


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先週のシドケ畑は里山だけれど、奥山のブナ帯のシドケは太くて立派。もちろん味も濃くて申し分ない。

今日はこれ以上イワナを釣る必要がなくなったので竿を仕舞い、山菜モードに入る。

滝まで行って沢から上がることにした。
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初めて来た時と比べると、滝全体が苔むしてきたようだ。

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黄緑色の絨毯のうえを流れているような、とっても美しい滝。

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イワナ釣りをしに行ったのだけれど、釣りしてたって実感はなかった。
岩魚釣ったり山菜採ったりしながらブナに抱かれた沢を歩いて来ましたってことかな?

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炭を使わずに焼き涸らす。薪の熾火で焼きからすと焼き上がりが燻製の匂いに近くなって、炭火焼とはまた違った味わいになる。

そして、お待ちかねの岩魚御膳
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岩魚・しどけ・行者にんにく・わらび

さあ、値段はおいくら???

最後に、どなたか漢字に強い方いませんかあ?
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器と膳は、千葉家に伝わる組膳十人前で、箱を重ねるとちょっとした箪笥くらいの大きさになって、蓋の裏に上の写真の通りの銘が入っています。ナントカ塗製造人って書いてありますけど、ナニ塗りなんですかあ?読めません(キッパリ)
あと、千葉ナントカ持品って書いてますけど、何持品なんですかあ?読めません(キッパリ)

どなたか教えたくださる方がおられましたら、是非コメント欄にて教えて頂きたいと思っています。
宜しくお願いいたします。



by mt1500funagata | 2019-05-11 23:10 | イワナ&沢 | Trackback | Comments(8)

幻のブナ林~シドケの畑

「幻のブナ林」
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大和町吉田の若畑地区から南東約600mの地点、海抜100~199mの地域。
ヒントはこれだけだった。

何年かかかって探し当てたのは、今から18年前の12月のことだった。
(ブナの便りWEB版)
http://funagatayama.web.fc2.com/011223.htm

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それ以来、何度このブナ林に足を運んだことだろう。

杉の植林地の入り組んだ荒れた暗い作業道を歩き、踏み跡もないヤブの尾根を登った先にこのブナ林がある。
もちろん訪れる人は滅多にいない、って言うか知ってる人すらほとんどいない。
ずいぶん前に僕は船形山のブナを守る会を代表して、この奇跡のようなブナ林を保全保護して欲しいと嘆願書を森林管理署へ提出したのだけれど、森林管理署ですら分からなかった場所なのである。

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暗い杉林の中を歩いて来ると、この広葉樹の森がひと際明るく,そして温かく感じられる。

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アカシデもこんな立派に空を仰ぐ。

足もとには
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派手さはないけれど、小さな花が美しく咲く。

ここも僕が見つけた僕の大切な場所。

ブログで道案内なんてしない。行ってみたいのならば冒頭の一行のヒントを頼りに探し当てたほうが、よっぽど美しいと感じるだろうし、心に残る残る場所になると思う。こんな素敵なところが船形山の麓にはありますよと紹介はするけれど、大切にしている場所の情報の安売りはしたくない。

もし、あなたがこの森に行き着くことが出来たならば、ここはあなたが見つけたあなたの大切な場所になることでしょう。
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幻のブナ林の木漏れ日の下で小鳥の声を浴びながらコーヒーを味わい、幻想的な時間をひとしきり過ごした後は・・・

一転俗的となり、シドケ畑へ向かう。
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僕は山菜の中ではシドケが一番好き。
好みは二分されるみたいだけれど、僕はシドケこそが山菜の味って思う。

秋のナメコ畑もあるけれど、ここは春のシドケ畑。
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こんなところは、人と会うよりクマと会う確率のほうが高いのではないかな?
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大きな声で「今日はクマスプレー持ってるからなー!出てくると痛い目にあうぞー!」って言って回る。奴らにも声は届いたようで、姿を現すヤツはいなかった。

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山菜・キノコ用に作った「手作りの逸品」

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イカリソウの向こうにシドケだらけってのがわかりますかあ~?
いちいち探す必要なんてない。採ってるそばから次のシドケは目に入って来る。だからここはシドケの畑。

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けっこう採れました。
これからの数日間、主食はシドケとなる我が家の食卓。

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残りはサッと茹でて冷凍保存。タラの芽はオマケですね。

このシドケ畑も僕が見つけた僕の大切な場所。
しかも秘密の場所なのである。




by mt1500funagata | 2019-05-06 23:16 | 七つ森界隈 | Trackback | Comments(2)

船形山中腹、小荒沢源頭付近に広がるブナの単相林「ブナ平」
ここに来るようになって、15年になろうとしている。
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そろそろ、僕にも黒森ブナ花染ブナの声を聞くことができるか?静かにブナ平で夜を過ごせば聞くことが出来るか?と思い、テントを担いで行って来た。

ブナの時間と僕らが時計で測る時間なんて比べられるものではない。
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時計もスマホも車に置いた。時計の時間に囚われない2日間を過ごすのだ。万が一の際の通信手段としてアマチュア無線のハンディ機だけはザックに入れた。

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登口付近は木々の梢が萌えだして、蝦夷春ゼミが鳴き始めるのもそろそろな感じがした。

鳴清水を過ぎ、標識プレート20番から登山道を外しブナ平へと向かう。
途中で跨がなければならない小沢2本と小荒沢もスノーブリッジも厚そうな所を選び、何とか残雪を繋いでブナ平へ入る事が出来た。
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ブナの森では世代交代が何百年というゆっくりした時間の流れの中で進む。

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ブナ平を守って来た精霊が宿る2本のブナ。手前が「黒森」向こうが「花染」

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黒森、花染が一目で視界に入る場所にテントを張った。
僕は、この2本のブナの間にテントを張ることが出来ない。張ってはいけない、何故か分からないけれどそう思う。

テントの設営が終わったら、ブナ平を隅々まで見て歩く。僕には、ほかにも思い入れがあるブナの大木があった。
「筋肉ブナ」とか「腹筋ブナ」と呼んでいたのだけれど、もう少し恰好いい名前がいいんじゃない?って言われて「金剛ブナ」って呼ぶようにしていた。根元から1.5mくらいのところで太い幹が下に向かい、それを筋肉の力でぐいーっと上に持ち上げている、そんな力強さが感じられるブナだった。
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折れていた。あんなに力強さを感じていたのに・・・・。何年か前には湾曲した太い幹に跨ってみたのに・・・。
折れた太い幹に触れると、春の日差しを浴びた木肌に温もりを感じた。

見渡す限りにブナの森が広がる。
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花染山の裾野にかかり傾斜がついてくるあたりがブナ平の端っこ。

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花染山と三光の宮を繋ぐ尾根に乗って、テン場へと戻った。

焚火を起こしながら、
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ホットイチゴワイン。ビールはテント設営の時からやり始めている。

夜の帳が下り始め、やかんに詰めた雪が湯気を出し始めたら、
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バーボンのお湯割り。

何をするという訳でもなく、ただ焚火の火をいじるだけの時間を過ごす。
時計を置いてきたから、何時間焚火の前に居たのかは分からない。

5月とは言え、雪の上の夜は肌寒い。
夕食はテントの中で、
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ポロネーゼにステーキ添え。腹いっぱい。

テントの外を見てみると、満天の星空だった。

腹いっぱいになったところで、シュラフにもぐり込んだら、目を閉じるのとほぼ同時くらいに眠りに落ちた。

そして、深夜。
目を覚ました僕はテントの外へ出た。もちろん何時だったのかは分からない。眠って数時間で目を覚まし0時前だったのか?あるいは深夜の1時~2時だったのか?

ブナ平はブナの梢の隙間から届く星明りで、うっすらとブナの姿がシルエットになって浮かんでいる。
ヘッドランプを灯してみると、明かりがちょうど黒森ブナと花染ブナに当たり、その2本だけがモノクロームで浮かび上がる。周りのブナは真っ黒いシルエット。

頭上に目をやるとブナの梢越しに満天の星空が広がっている。山のてっぺんで360度の星空を見たことはあるけれど、ブナの樹間に見える星空も心が震えるほど美しいものだった。

生活に追われ仕事に追われ、ひと時のくつろぎを求めてブナ平にやってきた僕の時間。数百年単位のブナの時間。気の遠くなるような悠久の宇宙の時間。そんなそれぞれの時間が同居した。そこで時計を見て今何時だろうなんて考えるのは益々ちっぽけなような気がする。やっぱり時計を外してきたのは正解のようだった。

写真は撮らない。そもそも星空の写真を撮れるようなカメラではないし、写真に残したから良いというものでもない。
このブログに載せるための写真を撮るために使う時間があったのならば、その分自分の目で見て心に記憶する時間に充てたいと思った。

風の音もなく、ブナの梢も微動だにせず、深夜一人たたずむ僕を周りのブナは無言で見下ろしていた。
僕にはまだまだブナの声を聞くことは出来ないようだ。

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次に目が覚めて、テントから起き出したのはブナの上部に朝日が当たり始めるころだった。

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昨夜の焚火を起こし直し、コーヒーを淹れようとしている時、遠くからクマの赤ちゃんが叫ぶ声が聞こえた。
子犬よりやや太い声で「ウァオーン~ウァオーン」と。その声はコーヒーを飲み終えるころまで聞こえ続けていた。

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朝ビールをやりながら、おかゆの朝食を済ませたあと、花染山の尾根を越え保野川のスノーブリッジを渡り、鈴沼まで行って来た。

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今まで鈴沼には何度来たかなんて覚えてもいない。でも来るたびに僕が見る鈴沼は今まで見たことが無い鈴沼なのである。

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花染ブナ

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黒森ブナ

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2本のブナに身体全体で触れ、僕の体温と鼓動を伝えブナの体温と鼓動を感じ取り、ブナ平をあとにした。

旗坂平には今年芽を出した、新しいブナ。
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ブナ平の老ブナも最初はこんな2枚葉の小さなブナだったことに間違いはない。



by mt1500funagata | 2019-05-04 23:03 | 船形山界隈 | Trackback | Comments(2)