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雨降りの早朝、嘉太神のトレイルカメラをチェックし終えた僕は風早峠へと向かった。

あの餌付けされてしまったキツネは現れるだろうか?

もし現れたならば、追い払いをかけるつもりだ。

現場に近づきスピードを落とすと同時に、まったくあっさりと姿を現した。
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車を停車させ窓を開けるとキツネはさらに近づき、こんな目で僕を見つめた。

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「コラッ!ダメだ!」大声で叫んでも逃げ出さない。クラクションを何度鳴らしても逃げ出さない。車から降りても逃げ出さない。脅かすように声を発しながら駆け寄ると、ちょっと離れるけれど藪の中に逃げ込むことはなく「なぜこの人は僕を怒るのだろう?」とでも言うような仕草で僕を見つめた。

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人を恐れないキツネ。顔や仕草を見ていると可愛らしく、なにかしてあげたい、食べ物を少し分け与えたくなる気持ちが起こっても不思議ではないと思う。優しい人だったらきっとそう思うに違いない。

近くには、
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おにぎりでも分け与えた人がいるのか?ご飯粒。

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スイカのかけら。
このキツネに与えたのだろうと思われる食べ物の残りがあった。

僕は食べ物を与えるどころか、逆に声をあげながら追い立てる。とても切ない気分で。

餌付けされたキタキツネが車に轢かれて死んでしまう事例は北海道にいくらでもある。自分でエサを捕ることをことを忘れてしまったキツネが、人が来なくなる冬に餓死する例もある。同じことがこのキツネに起こらないように。
この峠道はオートバイで猛スピードで走り抜けるライダーも多い。コーナリングの最中にキツネが飛び出して来たら・・・?悲惨な事故が起こらないように。

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このキツネ、もう駄目かもしれない。
瞳に野生の鋭さは感じられない。可愛らしさも感じられない。
哀しい瞳をしていると感じるのは僕だけだろうか。
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数年前に出会った同じ当歳子のキツネと見比べてみるとどうだろう。違いを感じますか?




by mt1500funagata | 2018-08-29 12:12 | 野生動物との出会い | Trackback | Comments(13)

第20回ブナの森作品展の様子が、NHK仙台放送局のローカルニュースで取り上げられました。
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嘉太神のツキノワグマも映し出されました!


↓↓↓こちらからご覧ください。(動画あり)



by mt1500funagata | 2018-08-28 21:54 | ブナの会行事 | Trackback | Comments(2)

船形山のブナを守る会、夏の終わりの恒例行事「ブナの森作品展」が始まりました。
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大崎市古川の市民ギャラリー「緒絶の館」
8月27日~9月2日 10:00~17:00(最終日は15:00ころまで)

ブナの会の会員の趣味の写真や工芸品、宮城県を代表するゲージュツ家でもある代表世話人のチョーコクなど。
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早いもので、もう20回を数えることとなった作品展だけれど、僕はこの作品展開催に至る経緯を昨日のことのように覚えている。きっかけは、98年2月に行われた世話人会の席上だった。宮城を代表する日本画家で河北美術展招待作家でもある櫻田勝子先生が世話人会に来られていて、先生自らの指導による森の写生会の提案があり、さっそくその年の秋に船形山登山道升沢コースの旗坂平付近で写生会が開催された。

僕も当時小学校低学年だった息子とともに参加し、息子の描いたミズナラの絵に先生がちょっと筆を入れて指導をしてくれた。息子の一言「あのおばちゃん、学校の先生より教えんのうめぇーな」そりゃそーだ。
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せっかくみんなで描いた絵なのだから発表する機会も欲しいものだということになり、しかも代表もゲージュツ家であるわけだし会員の皆さんも多彩な趣味をお持ちの方も多かった。写生画とともに趣味の作品を持ち寄り、99年8月に1回目のブナの森作品展が開催されるに至ったのである。

僕は数少ない出展皆勤賞の一人なのだけれど、年々パワーというか勢いが落ちてきているのは否めないと思う。始まった当時から僕もそうだし皆さん20歳年取っている訳ですからね。
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今年の出展の中で僕がもっとも目をみはったのは、もうじき船形山登頂1000回になろうとしているKさんよる「泪沼」の発表。
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薬師森と御来光岩の鞍部に、ある条件によってのみ現れる幻の沼。
数枚の写真と一枚の紙にしたためられたものだったけれど、僕もこの沼の存在を今まで知らなかった。

詳しくお知りになりたい方は、ぜひ会場に足をお運びくださいね。





by mt1500funagata | 2018-08-27 23:31 | ブナの会行事 | Trackback | Comments(4)

クマを探しに船形山のほうに行った帰り道。

日も暮れた道路沿いに子ギツネが逃げずにいた。
この場所のこのキツネは前にも2度ほど見たことがあって、車が近づいても慌てて逃げることもせずにいた。

でも今回のキツネは様子が違っていた。
キツネの前に、ちぎったパンらしきものが落ちているの分りますか?

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2度ほどすれ違い、この先に停車中のプリ○スに乗ってるヤツの仕業だろう。先ほど通った時にパンの切れ端は落ちていなかった。

パトロールの腕章を手に、その車の主に注意しに行こうとしたところでプリ○スは走り去ってしまった。

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野生動物との関わり合い方を勘違いしていると思う。

このキツネは今年生まれ、もうじき親離れを迎える当歳子だろう。親元からちょっと離れて自分でエサを探す練習をしなければいけない大切なこの時期に、ニンゲンに与えられたエサを食べてしまった。

野生の動物にエサを与えるってこと、ちょっと考えてみましょう。
もちろんこのブログを読んでいただいている方はこんなことしないと思いますが、
こんな動画を見てみてはいかがでしょうか?




by mt1500funagata | 2018-08-26 00:11 | 野生動物との出会い | Trackback | Comments(4)

鈴沼は秋が始まりました

蒸し暑い夏の終わりの午後、雨の小荒沢林道を鈴沼へと向った。

あの小島のウメバチソウは咲いているだろうか・・・

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小荒沢林道沿いでは蕾だったウメバチソウも鈴沼では終わりかけ。
クロマメノキの実は熟し葉は色づき始めていた。

雨上がりの沼の向こうに靄が立ち、やがて・・・

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靄は水面を滑るように広がり、沼全体を覆った。

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今年、鈴沼にやって来たのは何回目になるのか覚えてもいないけれど、来るたびに美しさに心を洗われる場所だと感じる。

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蒸し暑い雨の日だったとしても、雨具を持って車から降りてちょっと歩いてみるのも良いものだ。せっかく来てくれたんだからと鈴沼に住まう精霊が粋な計らいをしてくれるかもしれない。





by mt1500funagata | 2018-08-25 23:35 | 鈴沼 | Trackback | Comments(2)

2013年5月4日~5日、ブログ開設前Web版の記事です。
ここのところ、ツキノワグマの記事が多かったので、関連してリバイバル版を掲載すると良いんじゃあない?と言うご意見を頂きました。

読み物としてご覧いただければ幸いです。

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・・ふながた山のブナやクマのことならおもしろい。ふながた山は大きな山だ。
保野川はふながた山から出てくる。ふながた山は一年のうち大ていの日は つめたい霧か雲かを吸ったり吐いたりしてゐる。まはりもみんな青黒いなまこや海坊主のやうな山だ。山のなかごろに大きな洞穴ががらんとあいてゐる。そこから保野川がいきなり二百尺ぐらゐの滝になってひのきやいたやのしげみの中をごうと落ちて来る。それがふながた山の色麻大滝だ。
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宮沢賢治のパクリから始まりましたが、残雪の上にテントを張り泊まりで4日~5日と行って来た、小荒沢源頭ブナ平の周辺は、宮沢賢治の「なめとこ山の熊」をいつも思い浮かべる場所なのです。

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・・・むかし、熊がごちゃごちゃ居たさうな、なめとこ山のへんに熊捕り名人の「小十郎」という、赤黒いごりごりしたおやぢがいた。小十郎はなめとこ山あたりの熊を片っ端から捕ったのだけれど、熊どもは小十郎をすきなのだ。でも鉄砲をこっちへ構へることはあんまりすきではなかったので、大ていの熊は迷惑さうに手をふってそんなことをされるのは断った。けれども熊もいろいろだから気の烈しいやつならごうごう咆えて小十郎へかかって行く。そうすれば小十郎にズドンとやられて死んでしまふ。そうしたら小十郎はそばへ寄って来て「熊、おれはてまへを憎くて殺したのでねえんだぞ。ほかの罪のねえ仕事していんだが畑はなし木はお上のものにきまったし里へ出ても誰も相手にしねえ。仕方なしに猟師なんぞしてるんだ。てめへも熊に生まれたが因果ならおれもこんな商売が因果だ。やい。この次には熊なんぞに生まれんなよ。」と云ふのだった。・・・

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夜半から、ごうごうと強い風の吹く音が聞こえはじめましたが、テントがゆれることはありませんでした。花染山の稜線が風をうまくかわしてくれるのでしょう。
風が当たらず三方の斜面から土に浸み込んだ養分が集まるこの場所は、ブナにとっては最高の地形なのでしょう。一番良い場所には胸高周り5mになろうかとする大きなブナが僕らのテン場を見おろしているのです。

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未明には風が収まりブナの樹間から、半月を望むことができました。
そして、月明かりと雪明りを頼りにテン場のすぐ脇の尾根に登ってみました。

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・・・小十郎はもう熊の言葉だってわかるやうな気がした。小十郎はある夜、母親とやっと一歳になるかならないやうな子熊と二匹丁度人が額に手をあてて遠くを眺めるといったふうに淡い六日の月光の中を向ふの谷をしげしげ見つめてゐるのにあった。熊のからだから後光が射すやうに思へてまるで立ち止まってそっちを見つめてゐたら子熊が甘えるやうに云ったのだ。
「どうしても雪だよ、おっかさん谷のこっち側だけ白くなってゐるんだもの,どうしても雪だよ。おっかさん。」
すると母親の熊はまだしげしげと見つめてゐたがやっと云った。
「雪でないよ、あすこへだけ降る筈がないんだもの。」
子熊はまた云った。
「だから溶けないで残ったのでせう。」
「いいえ、おっかさんはあざみの芽を見に昨日あすこを通ったばかりです。」
月の光が青白く山の斜面を滑ってゐた。しばらくたって小熊が云った。
「雪でなけぁ霜だねえ。きっとさうだ。」
ほんたうに今夜は霜が降るぞ、お月さまの色だってまるで氷のやうだった、小十郎はそう思った。
「おかあさまはわかったよ、あれはねえ、ひきざくらの花。」
「なぁんだ、ひきざくらの花だい。僕知ってるよ。」
「いいえ、お前まだ見たことありません。」
「知ってるよ、僕この前とって来たもの。」
「いいえ、あれひきざくらでありあません、お前とってきたのきささげの花でせう。」
「さうだらうか。」子熊はとぼけたやうに答へました。・・・

ここらへんの、ふながた山あたりの熊も、こんな尾根から向こう側を見つめて、こんな話をしているのでしょうね。

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花染山の稜線に朝日が当たり、示し合わせたように小鳥のさえずりが賑やかになって来ました。

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今朝の山めしは、和風で。

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朝食後、手ぶらでブラブラと花染山まで散歩に行って来ました。
一昨年は左の茂みに熊がいたんだよねえ、とか、僕らにびっくりしたカモシカが転げるようにすっ飛んでいったよねえ、などと話しながら全く緊張感のない山歩きを楽しみました。

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尾根から小荒沢へ向かって行く熊の足跡が残っていました。
昨日の夕方くらいの足跡のようです。尾根の上から丁度人が額に手をあてて遠くを眺めるように僕らのテントの灯りを眺めていたのかも知れませんね。

・・・豪儀な小十郎も町へ熊の皮と胆を売りに行くときはみじめだった。
こずるい荒物屋の旦那に安く買い叩かれ、実に安いことは小十郎も知ってゐた。
こんな風だったから熊どもは殺してはゐても決して憎んではゐなかったのだ。

ある年の夏、小十郎は鉄砲をつきつけた熊から問われる。
「おまへは何がほしくておれを殺すんだ。」
「ああ、おれはお前の毛皮と胆のほかはなんにもいらない。ひどく高く売れると云ふのではないしほんたうに気の毒だけれど仕方ない。けれどもお前に今ごろそんなことを云はれるともうおれなどは何か栗かしだのみでも食ってゐてそれで死ぬならおれも死んでもいいやうな気がするよ。」
その熊は、「二年ばかり待って呉れ、二年目にはおまへの家の前でちゃんと死んでゐてやる。」と云い、小十郎は変な気がしてぼんやり立って鉄砲を射たなかった。
ちょうど二年目の朝、約束とおり熊は小十郎の家の前で倒れてゐた。
小十郎は思はず拝むやうにした。

そして、生まれて初めて猟に出るのが嫌んたような気がした日、小十郎は熊に殺されてしまう。

その熊は鉄砲を射っても少しも倒れないで嵐のやうに黒くゆらいでやってきた。
小十郎はがあんと頭がなってまはりがいちめんまっ青になった。それから遠くでこう云ふことばを聞いた。
「おお小十郎おまへを殺すつもりはなかった。」
ちらちらちらちら青い星のやうな光がそこらいちめんに見えた。
「これが死んだしるしだ。熊どもゆるせよ。」と思ひながら小十郎は死んだ。
とにかくそれから、まるで氷の玉のやうな月がかかってゐた三日目の晩だった。
白い雪の峯々にかこまれた山の上の平に黒い大きなものがたくさん環になって集まり、じっと雪にひれふしたままいつまでもいつまでも動かなかった。
いちばん高いところに小十郎の死骸が半分座ったように置かれてゐた。
思いなしかその死んで凍えてしまった小十郎の顔はまるで生きているときのやうに冴え冴えして何か笑ってゐるやうにさへ見えたのだ。ほんたうにそれらの大きな黒いものは参の星が天のまん中に来てももっと西へ傾いてもじっと化石したやうにうごかなかった。・・・

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「何もしない山行」と銘打ったこの山遊び。
気のあった仲間と酒を飲みメシを食い語り合い笑いあい、それだけ。 山登りらしいことは本当に何もしませんでした。
ふと会話が途切れたとき、何かでひとりになったとき、僕はずっと「なめとこ山の熊」のひとつひとつのフレーズを思いだしていました。そんなことを考えるのは,この場所がちょうどいい。





by mt1500funagata | 2018-08-22 06:58 | 船形山界隈 | Trackback | Comments(0)

盆休みの夕方、4日間続けてツキノワグマの観察に出かけた。
場所は船形山の山麓、集団移転で住む人の居なくなった嘉太神地区。

4日間で、延べ9頭(6個体?)のツキノワグマを目視観察することが出来た。
ここは、ある生産施設の敷地内で廃棄物などがクマのエサとなり、人が帰った夕方から夜間・早朝にかけて多くのツキノワグマが集まってくる。

生産施設に影響があるかも知れないので、写真は加工し施設内の状況は分らないようにしています。


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鼻筋に目立つ斜めのキズがあるオス。この個体は約1ヶ月に渡り定点観察続けたトレイルカメラに記録されていない。と言うことは、カメラを設置したクマの道以外のルートでやってくると考えられる。これで、この周辺のツキノワグマの個体数は僕の推定で17頭目になった。

生産施設の社長はじめ従業員の人も僕が近くにトレイルカメラを設置しているのは知っているし、皆さんも多くのクマを目撃している。先の個体識別や行動時間帯のグラフ結果もお伝えしていて、電気柵の下草刈りの手伝いとかもしている。
一緒になって被害防止策を検討したり、クマ研究者から得た情報を提供したりもしている。自分の趣味と言うか興味でやっているツキノワグマ観察だけれど、施設の方にとっては重要な情報として位置づけてもらっている。

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13日18時30分ころ。
鼻キズ♂は、僕の車がやってきても逃げない。ドアを開けて写真を撮り始めても逃げない。すると、向こうの藪から別なクマ(おそらくカメラに写った腹シロ♀)が現れて鼻キズに近づいてくる。鼻キズも気にすることなくエサ探しに夢中になっている。2頭並んでエサを探し、共に排除しあう様子は全く見られない。鼻キズが立ち去ったあとも腹シロはその場に居残りエサを探す。後方の藪から小型の別個体が顔を見せるが、腹シロが居るのを認め藪に戻りその後僕が見てる間に姿を現わすことはなかった。しばらくして鼻キズが戻って来たが、腹シロは逃げない。腹シロは満足したのかゆっくり立ち去り、鼻キズだけが現場に居残った。

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発情による♂♀接近ではないので、ツキノワグマは縄張り意識が低くエサが充分にあれば他のクマを排除しないと言うことは知識として知ってはいたが、実際に目視確認することが出来た。

そして、もうひとつ垣間見えたのが序列。上記の3頭を観察している途中にクマの道のほうに帰って行くクマも見ている。つまり、同時に4頭のクマを観察した訳だけれど、同列の鼻キズと腹シロ、下位の小型。(帰って行った中型は採食を終え戻ったのか?ほかのクマが居たのであきらめて戻ったのか?は不明)
下位の小型は、上位のクマが姿を消すまで隠れて待っていたと推測する。エサが豊富にあり多くのクマが集まる場所では、序列が出来上がっていて、その序列を乱すことさえなければ排除行為は行われずクマ社会のコミュニティが成立していると言うことなのだろう。

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さて、表題の追い払い。
4日間で観察したクマとの距離は最接近で約6m、上の写真は約30m。
6m前を小走りするクマの写真なんて撮れるもんじゃあない!クマ撃退スプレーをホルダーから出しながら車に逃げ込むのが精一杯。写真撮れる度胸のある協力者求めます!

このように野生のツキノワグマを好きに弄れるのは、めったにある機会ではない。せっかくなので、クマはどの程度の脅威に反応し追い払うことが出来るのかを試してみた。

状況は、どの事例もクマとの距離約20m~25m。上の写真のすぐ後は川で、ジムニーのエンジン音よりも水流の音のほうが大きく聞こえる場所。風はほとんどなく15日は雨。
<事例1>
12日:施設敷地内にいた小型。車近づく→逃げない。車のドアを開ける音→反応しこちらの様子を伺う。車から降りる人間(僕)→走って逃げ出す。
その後30分ほどの間に戻って来ることはなかった。(観察終了)

<事例2>
市販のクマ鈴。
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普通のハイカーが持つのはこんな程度のものでしょう。僕も大したクマ鈴は持っていない。
車近づく→逃げない。車のドアを開けて降りる→逃げないというより気づいていない、若しくは無視。クマ鈴を思い切り鳴らす→逃げない(聞こえていないor無視?)(観察継続)

クマ鈴を鳴らしながらどこまで近づけば逃げ出すのか、試みてもらえる度胸のある協力者求めます!

<事例3>
ホイッスル
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ホイッスルを鳴らす→逃げない。更に鳴らす→反応し周辺の様子を伺う(あれー?なんか音が聞こえるがなんだろう?ってカンジ)更にしつこく鳴らす→ホイッスルを鳴らしている僕と目が合い立ち去る(慌てて逃げた感じではない)
その後、数分で戻って来た。(観察継続)

<事例4>
声①
コラ!→逃げない(逃げないというより気づいていない、若しくは無視)。声の限りにコラーーー!!!!反応し周辺の様子を伺う(あれー?なんか声が聞こえるがなんだろう?ってカンジ)。更にしつこくコラーーー!!!→叫んでいる僕と目が合い立ち去る(慌てて逃げた感じではない)
その後、数分で戻って来た。(観察継続)
声②
ホーイ!ホッホー!!→コラ!よりも遠かったが、一声で反応。立ち去る。
その後、20分以内に戻ることはなかった。(観察終了)

<事例5>
クラクション
短く鳴らす→逃げない(逃げないというより気づいていない、若しくは無視)。長く鳴らす→反応し周辺の様子を伺う(あれー?なんか音が聞こえるがなんだろう?ってカンジ)。更に長く鳴らし続ける→立ち去る(うるせーなー!って渋々動いた感じ)
その後、3分程度で戻って来る(観察継続)

<事例6>
爆竹
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爆竹を鳴らす(16連発)→慌てて逃げ出す。
その後、8分後にクマが現れるが、逃げたクマと同一個体かは不明。

<まとめ>
エサが豊富にあり生息密度が極めて高い環境、日中は作業する人がいてトラックなど車が出入りするのを知っているというクマのタイプ、エサを求めるなど徘徊しているクマではない・・・など、一般的なハイカーや山菜きのこ採り、渓流釣りにおけるクマとの遭遇・接近とは状況が違う前提。また、事例の母数そのものが少ないので確証を得たものではない事を前提としています。

①クマ鈴→意味なし。
②ホイッスル・クラクションなど大きな音→相当しつこく出さないと効果なし。
③大声→相当大きな声でしつこく出さないと効果なし。巻き狩りで勢子が使うホーイ!ホーイ!って、やはり効果ありそうですね。
④爆竹→効果あり。但しその効果の持続性は10分以内になくなる。

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この結果で持ってクマの追い払い方を結論づけることは当然出来ない。あくまでも特殊な環境の中での一例に過ぎないのですね。
クマ鈴については、ツキノワグマ研究所のレポートでも追い払い効果は乏しいとありますが、追い払うことは出来なくとも人の存在を知らせ、近寄らせないという効果はあるかもしれないと思う。クマ鈴が獲物としての人の存在を知らせクマを誘うと言う説もありますが、よほど特殊な環境で特殊な学習をしてしまったクマに限ると思います。
この施設周辺以外で、車で走行中に出会うクマや山で偶然出会ったクマは、車や人を認めたとたんに逃げる(立ち去る)ケースがほとんどな訳です。(もちろん逃げないクマもいる)

どうすれば近づかせない或いは追い払うと言う事は画一的に論じるのは無理な話で、10頭のクマが居れば10通りの対策、環境によっても対策は変わるのだということだと思っています。
人間だってそうでしょ?静かに立ち去って下さいとお願いして、すぐ立ち去ってくれる人も居れば、しつこく言ってやっと立ち去る人も居るし、なかには逆ギレして突っかてくる人だって居る。クマだって同じなんじゃあないでしょうかね?


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by mt1500funagata | 2018-08-17 10:31 | 野生動物との出会い | Trackback | Comments(14)

8月11日、今年で3年目を迎える山の日の祝日。
せっかくなので、県外の山まで出かけた。

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夜の山に抱かれたくて登山口にテントを張るつもりで出てきたのだけれど、雨ガス強風の3点セットで車中泊となった。登山前の早朝からの長距離運転は性に合わないし、山で寝ることがその山に対する情念を持つ一端になると思っている。本来は、山中泊したいところだが今の僕を取り巻く環境は、丸々2日間を自由に使うことは難しい。

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未明の登山口で、同じく前泊だった石巻から来たという男性。登山と言うよりは、蝶の観察が目的なのだそうだ。風が強いのを心配していた。風があると蝶の観察が難しくなるらしい。

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トイレ2階の休憩室でシュラフに包まっていた男性。リタイアしたのちの数年間は年間山行日数が300日を越え、全国の山々を登りつくしたのだそうだ。青森から来たと言うその男性は、「やっぱりこの山が好きでさー」と特に良く来るらしい。

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心配していた強風も、歩き出してからはさほど気にならない程度になり、振り返れば雲海が広がる素敵な登りとなった。

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群馬から来たと言うご夫婦。ご主人はBCスキーが好きで、この山へは良く来るのだそうだ。僕らが宮城から来たというと隣県だから、しょっちゅう来るのだろうね?と言われた。群馬から来た人にとって僕らは隣町から来るみたいな感覚なのだろうが、近い山って船形山や七つ森を指すものと思っている僕にとって県外の山は隣県であっても遠い山なのである。

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アザミと言えば八代亜紀が唄った「恋あざみ」が頭のどこかにあるのか、一昔前の飲み屋の女性を連想してしまうのだけれど、固有種のチョウカイアザミは、さすがに色も濃く重厚感がありいつものアザミとは違った印象だった。

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「私たちは行けるところまでで良いのよ~」と急な登りのあざみ坂の途中で、雲海の風景のなかに身を置くご夫婦。うーん!イイんじゃあない?こんな余裕をもった山登り。

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そして、同行の登山女子Y子さん。山に来るようになって今年10年目になる。10年前「イワウチワ初めておぼえた春の花旗坂平の入口に咲く」と詠んだ彼女も今では森の案内人としてインストラクターを務めるまでになった。雪山テント泊、岩壁ビバーグ、テントを出てから下山まで15時間連続行動の長丁場も経験しているし、沢は笹木沢・葛根田・火の沢・五郎沢・・・etc。日帰り登山を30年続けたとしても到底経験できないような経験と場数を踏んでいる。

ある沢での話。僕が山に引き込んだと言うこともあり色々と手を貸していたところで、オヤブンから一喝!「あまり手を貸すとY子君の成長がなくなる!」って・・・山岳会じゃあないんですけどー。オヤブンはY子さんを連れられて歩くだけの山女子になって欲しくなかったのだろう。だから、こうして踏み跡もよく分らない雪渓を先行できるまでになった。

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急な登りを終え、外輪山に到達したところで山頂が圧倒的な迫力で目に飛び込んできた。さすがは東北を代表する山の迫力である。

横浜から来たという美男美女のご夫婦。鶴岡に友人が居て、友人を訪ねる旅行をかねて年一の夫婦登山なのだそうだ。年に一度の割には格好も決まっていて足も早かった。礼儀正しく上品な稀にみるイケメン夫婦だった。

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新山への途中の鞍部で、雪渓の端っこの池から氷を少し頂いた。手が痺れるような冷たさと言う表現があるけれど実際痺れた。
それはあとでのお楽しみのため。

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ザックをデポし、新山をピストンし終えたころには、
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キンンキンにビールが冷えて仕上がっていた。鳥海山と山の日にカンパーイ!


山頂で会った若いカップル。「実は僕、今日が山デビューなんですよー。」山好きな彼女に連れられてここまでやってきたそうだ。初めての登山の印象を聞いたところ、「楽しいです!来て良かったです!」

山の日の鳥海山。多くの人が登り、それぞれに山の日の登山を楽しんでいた。




by mt1500funagata | 2018-08-12 23:48 | ほかの山 | Trackback | Comments(0)

約1ヶ月に及ぶ定点観察に一段落をつけたところで、カメラの設置位置を少し変えてみた。
今まで設置していたのは、舗装道路から7~8m入った廃道の脇だったけれど、何度も通っているうちにカメラと舗装道路の間(カメラの背後)にも廃道と交差するクマの道があるのではないかと思うようになった。

そこで、カメラの位置を舗装道路よりに移し交差するクマの道も写るようにしてみた。

興味深い動画撮れました。
ここでネタばらしするより動画を見てもらったほうが面白いと思うので、敢えて静止画は掲載しませんでした。(1分17秒)

スマホの方はyoutube直リンクのほうが見やすいと思います。
https://youtu.be/fhp4bzJiF7o

そして、設置の高さを少し低めにすると個体識別がしやすいのが分った。
移動した7月31日から8月7日早朝までに記録されたのは、32イベント・35カット。
先の1ヶ月の個体識別を試みた時に1頭と数えていた細身のクマは実は3頭いた。胸の三日月マークが写ると違いがわかりますね。そして初めて写った個体もあった。
カメラ、あと3台あればもっと正確に識別が可能な気がする。来年チャレンジしようかな?
これも動画を直接見てもらったほうが良いでしょう。(1分16秒)

スマホの方はyoutube直リンクのほうが見やすいと思います。
https://youtu.be/68u7NZuugfk



by mt1500funagata | 2018-08-08 22:37 | 野生動物との出会い | Trackback | Comments(6)

土曜日(8月4日)の話です。
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どこか人気のないところでオカリナの練習でもしようかと思い立って、山のほうへ向った。
先ずは嘉太神のトレイルカメラをチェック。前回から少し設置位置を変えたカメラは、またまた興味深い動画を記録していたけれど、それは次回の記事で触れたいと思う。

今回は、ブナの話。

今年のブナは豊作のようだ。
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7月にぶなの実が大量に落ちているのを不思議に思った僕は、その道の専門家に教えを乞うた。
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(参考画像)7月上旬に大量に落ちたブナの実

まだ熟していない実を落とすのには理由があるのだろうか?
理由はあった。しかも、それは生き残るためのブナの知恵によるものだった。

ブナの豊作が4年から7年周期であること、ブナの花が雪解け前に咲くこと、実より先にイガが出来ること、そして6~7月に大量の実を落とすこと・・・それはある敵対する虫に対抗するためのブナの知恵によるものだった。

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落ちていたブナの実に小さな穴が開いているのに気づきましたか?

これは、ブナの実しか食わない峨の幼虫「ブナヒメシンクイ」によるもの。
ブナヒメシンクイは、雪解けと同時に羽化しブナの花に卵を産み付ける。

ブナの花が沢山咲き実が豊作だったならば、ブナヒメシンクイも同じく大量に発生する。だから、数年間は凶作・並み作を繰り返しブナヒメシンクイの発生を抑制し、頃合いをみて大量に実を付けてブナヒメシンクイにある程度喰われたとしても大丈夫だと判断した年が豊作年になるって訳。

ブナの花が雪解け前の早春に咲くのは、ほかの虫が羽化する前に花を咲かせてしまい、イガを形成することによって実を守るため。残雪のブナ林で雪の上に落ちたブナの花は美しいけれど、ここにもブナとブナヒメシンクイとの熾烈な生存競争があるのですね。

そして、豊作の年。ブナが地中から養分を吸収し吸い上げるのは6月ころに一旦ストップする。そして、ブナヒメシンクイに喰われた実を選別して落とす。食害を受けた実を落としきってしまったら、養分の吸収を再開するのだそうだ。

なんか、すごくないですか?
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ブナとブナヒメシンクイとの関係性は、もっと複雑で難しいのだけれど間単に要約すると上記のようなこと。

ブナはそれぞれ根っこが違う独立した樹木だけれど、一本一本が独自にその周期を作るのではなく森全体のブナが一斉にその周期を作っているって考えると、示し合わせるようなブナ同士のコミュニケーションがあるなかな???って思ってしまう。
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ブナの森に佇むと感じる独特の感覚、ブナには意思と記憶があるのではないかと思ってしまう感覚。やはり僕はブナには意思と記憶があるのだと思う。

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朝から気温が上がった暑い夏の日、大滝キャンプ場の駐車場の車もまばらだった。

鈴沼にも誰もいない。今日は山に登らない歩かない。鈴沼のほとりで数時間を一人で過ごした。ブナに囲まれ美しい沼のほとりで僕は、やさしさに包まれた。


始めて4ヶ月のオカリナ。上手に吹くことは出来ないけれど、気持ちよく吹く楽しさがわかって来ました。秋には桑沼デビューしたいところですね。


by mt1500funagata | 2018-08-06 00:25 | 鈴沼 | Trackback | Comments(6)