平成29年12月31日
大晦日の朝、升沢しょい滝に呼ばれた。
c0294658_18403983.jpg
ここ数日、僕はしょい滝へ行きたいと強く思っていた。と言うか、行かなければならないと思っていた。

僕には船形山界隈や七つ森界隈に、ここには神様がいるんだなぁ~って思える場所が何カ所かあるけれど、ここもその中のひとつ。



升沢へ向かう途中、いつもの嘉太神あたりを一回りする。
c0294658_18412081.jpg
僕らが冬山を歩く時によくラッセルという言葉を使うけれど、これこそが森のケモノたちのラッセル。イノシシが先頭を切り、そのトレースをタヌキやらキツネたちが利用する。
奴らは胸までのラッセルを平気でやる。膝上ラッセルなんていかにも大変そうなこと言ってるニンゲンなんて、実はたいしたことないだよな~って思わされる。

c0294658_18412601.jpg
この綺麗に揃った足跡は?
上品なモデル歩きのテンのようだ。わかるまで少しの時間が必要だった。
(訂正:後日調べてみたところアナグマのようです)

升沢まで上がってくると、積雪量は一気に増える。
森のケモノに倣って僕もツボ足でしょい滝へと向かう。
c0294658_18413120.jpg
深いところでは太ももまで沈む深雪に、歩き始めて10歩で後悔した。
俺様はニンゲン様だ、なんて偉そうなこと言ったって、胸までのラッセルを平気で一日中やってる森のケモノたちに到底及ばない。自分の非力さを知る。

c0294658_18414619.jpg

c0294658_18413806.jpg
ここに架かっていた橋は30年くらい前に自然の力の前になすすべがなく流されてしまい、今ではしょい滝を訪れる人は滅多にいない。

深雪をラッセルし沢を渡り、直線距離で高々400ḿ程度の距離を歩くのに約40分を要して、しょい滝の前に立った。
c0294658_22122981.jpg

c0294658_22125983.jpg

僕が何年か前に取りつけた滝名板。括り付けた針金は樹の幹に食い込みまったく動かなくなっていた。
次回来るときには、緩めるための道具を持って来よう。

c0294658_22271805.jpg

c0294658_22270639.jpg
升沢しょい滝と向かい合うのは何度目になるだろう?

ファインダーを覗いていた僕は何かを感じて滝の上部を見上げた。
何だろう?たった今までと違う空気感というか気配を感じたのだ。
滝を見上げていて、その感覚の違いの理由が分かった。
滝の流れ落ちる音が変わったのだ。

c0294658_22265951.jpg

今まで聞こえていた滝の音にかぶさるように、少し高音域の水が落ちる音が滝の岩盤から聞こえてきたのだった。

風のせいかも知れないだろうけど、もしかしたら、ほかの何かのせいなのかも知れない。

c0294658_22271234.jpg
今日はここに1時間20分いた。
この岩盤と流れる水の姿の中に、何を見るかは人それぞれによって違ってくるだろうけど、何度も来て見て暫くの時間その場に身を置くと何かを感じられる、そんな滝だと思う。


c0294658_22272351.jpg

ニンゲンの非力さと傲慢さを知り、滝の前で「何か」を感じて過ごした12月31日の朝だった。

皆様、今年も一年間お付き合いいただきありがとうございました。
あと数時間でやって来る新しい年が、皆様にとって良い一年であるように心より祈念いたします。



[PR]
by mt1500funagata | 2017-12-31 22:53 | 船形山界隈 | Trackback | Comments(2)


寒い日に凛とした空気に触れたいと思った朝、決まって向かう場所がある。

c0294658_20294207.jpg

七つ森の奥のほうにある「夢想の滝」

c0294658_20294333.jpg
僕には船形山界隈や七つ森界隈に、ここには神様がいるんだなぁ~って思える場所が何カ所かあるけれど、ここもその中のひとつ。


僕は同じ所へ何回も行く。
だからこそ感じることが出来る気配がある。
初めて行った場所では、感じることが出来ない気配がある。

c0294658_20294294.jpg
30年近くに渡って何度この滝の傍らに立ったことだろう。
少なくとも10や20じゃ全然及ばないと思う。

比叡山や大峯山での千日回峰行には到底及ばないけれど、同じ所へ繰り返し行くことで見えてくる何かがあるのだろうと思っている。

ところで、七つ森の七薬師は山好きな人を中心に、ご存知の方も多いと思いますが・・・
足腰に自信がなく七薬師掛けは難しいなあ~とか、山に登る気分じゃないなあ~なんて言う時には、七つ森界隈の「六地蔵掛け」や「四天王掛け」なんてどうですか?

めったに目にすることがない、こんな地図がある。
c0294658_21301038.jpg
六地蔵は、ネット検索してみればいくつかヒットしますが、四天王はおそらくどこにも出てこないと思う。
昭和48年七つ森観光協会発行の「緑の故里七つ森を語る」という本で四天王のことが触れられているけれど、現在この四天王を知る人は少ないって言うか、今の七つ森観光協会の重鎮の方も知らなかった。
僕は、この地図を頼りに四天王を巡ろうと思い立った。1か所だけは見当がついていて、すぐに見つかった。2か所目は周辺をぐるぐる回って自力で見つけた。あとの2つは、どうしても見つからず小さな鳥居を辿って森の小高い所へ行ってみれば山神様だったり、個人宅のお稲荷さんだったりした。

何人かの地元の人に尋ね歩き、ようやく四天王すべてを目にすることが出来たのは、1か月近くを過ぎたころだった。

七つ森四天王の写真がすべてそろった書物はないと思う。
上記の本にも四天王の写真はそろっていないし、大和町の資料室にも四天王の資料はなかった。
もしかして?本邦初公開!?


まずは六地蔵から

永屋敷地蔵
c0294658_22023031.jpg


草の川地蔵
c0294658_22040038.jpg

中野地蔵
c0294658_22054088.jpg

鍛冶屋敷地蔵
c0294658_22064979.jpg

水地蔵
c0294658_22080029.jpg

法性地蔵
c0294658_22085218.jpg
それぞれのお地蔵様の謂れは、観光協会が設置した看板に書いてある。


=宮床四天王=

山田天王
c0294658_22165483.jpg

要害天王
c0294658_22175639.jpg

新道天王
c0294658_22175748.jpg

芳の沢天王
c0294658_22175683.jpg

四天王は、享保3年(1718年)前後の建立とされ、七つ森山頂の七薬師仏より古い。
天王とは牛頭(ごず)天王であり詳しくは↓こちら

六地蔵は何とか行き着けると思いますが、四天王は相当難しいです。

映画「殿利息でござる」で有名になった大和町吉岡宿ですが、七つ森七薬師・六地蔵・四天王で新たな大和町の歴史観光スポットになるよう、各方面に働きかけているところです。


[PR]
by mt1500funagata | 2017-12-29 22:48 | 七つ森界隈 | Trackback | Comments(0)

夜明け前、窓からの冷気で目が覚める。

僕の部屋には暖房がない、しかも窓を開けて寝ている。
暖かくした部屋でテレビを観て朝の時間を過ごすのはもったいない。

森へ向かう。
c0294658_11073939.jpg
森へ行って、何するって訳じゃあないけれど・・・。

c0294658_11074036.jpg
森では冬ごもり前のツキノワグマの足跡を見つけた。

c0294658_11074104.jpg
雪の下からドングリを探して喰っていたようだ。
c0294658_11074032.jpg
天然の冷蔵庫なのですね。

c0294658_11074141.jpg
もう少し標高の高い森でもツキノワグマはまだ冬ごもりしていない。

僕は、雪面に親子グマの足跡を見つけたことがない。だから、これは全く僕の感覚的に思っていることで学術的に言える話ではないのだけれど、冬の森をウロウロしているのは雄グマだけなんじゃないだろうか?子連れや出産を控えた雌グマは暖かい穴に入り、雄グマだけは暖房のない森を歩き回り、冷たいドングリを喰う。

僕も雄グマと同じ生活か?

c0294658_11074206.jpg
一回りして、七つ森の奥のほうの森にはイノシシ捕獲のくくり罠が仕掛けられていた。
人が歩く林業作業道のすぐ脇で、写真でもわかる通り罠も設置表示も数センチの積雪で隠れてしまう。大和町内でもくくり罠の設置数は増えているので、森を歩くときには注意が必要ってことです
ね!

積雪を考慮した設置表示をお願いしたいと宮城県猟友会本部に電話した。
本部では真摯に対応してくれて、すぐに支部に連絡し改善要請をするとの回答だった。

c0294658_11073986.jpg
ブログで騒いだところで何にもならないと思っているから、実際に電話をかける訳ですね。

暖房の効いた部屋で地球温暖化を憂い、反原発を訴えたとしても・・・?

**********
幼い子やお年寄りにとっては大切な暖房ですが、せめて山岳志向の体力がある僕らにとっての話です。誤解のないように追記しときます。




[PR]
by mt1500funagata | 2017-12-26 10:04 | 嘉太神 | Trackback | Comments(0)

成長するツキノワグマ

2013年4月16日
c0294658_20403927.jpg
船形山へ向かう途中の沼のほとりに小さいツキノワグマがいた。(携帯電話のカメラで撮影)

c0294658_20403942.jpg
大きさから見て、初めて単独で冬ごもりした後の子グマだと思う。
という事は生後2年2ヵ月前後と推定される。

週末に山に行かず、早朝の散歩でも森の動物たちと会えない日々が続く僕は、過去に撮影したクマの写真などを見て森の動物たちを想っている訳です。

僕が今まで写真を撮ることが出来たクマは延べ32頭。
写真を撮れなかった出会いのほうが多いので、クマと会った(見た)回数は倍以上という事になる。
撮ったなかで確実に同じクマってのが複数あるし、クマの写真を多く撮れるフィールドは狭い範囲なので実数は20~25頭くらいかも知れない。

そんな中で、面白い発見をした。
c0294658_20395933.jpg
2014年5月18日に会った、この子グマと・・・
c0294658_20400006.jpg
2017年9月10日に会った、この逞しいクマ。
さらに冒頭の2013年4月に会ったクマ・・・同じクマなんじゃないか???

13年と14年は、まったく同じ場所。

c0294658_20400145.jpg
2014年5月に会ったこのクマは1年前に会ったクマと同じクマだとしたら生後3年3ヵ月前後と推定される。ニンゲンの年齢に換算すると、13~14歳くらい。
別なクマだとしても、性成熟している大きさではないので、生後2年3ヵ月前後だろう。
いずれにしてもニンゲンで言えば中学生くらい。

ツキノワグマの年齢をニンゲン年齢に換算するのに、全身の生理状態を統括した絶対的な換算方法はないのだけれど、北海道野生動物研究所のレポートによれば、
=====
生物の要は種の維持にあるから、繁殖年齢の一つである出産年齢を基 準に羆と人の年齢を比較する方法がある(門崎が開発した)。換算法は野生羆の出産年齢の範囲 は 4 歳から 27 歳であること(門崎の報文にある)。そして、婦人の出産年齢は 15 歳から 53 歳 (札幌医科大学田中昭一助教授)ぐらいであること、を基準とし、算出する方法である。式は 次のように表される。 (羆の年齢―4)×1.652+15=人の年齢である。なお、羆の出産期は 1 月から 2 月中旬 であるから、野生羆の年齢推定に当たっては出生日を便宜的に 2 月 1 日に統一して計算する。
羆の年齢 4 歳は人に換算すれば 15 歳であり、羆の年齢 27 歳は、人では 53 歳である。
(北海道熊研究会報 第23号より)
=====
ということらしい。

ヒグマとツキノワグマの違いはあるけれど、ツキノワグマも性成熟は4歳であることから、ほぼ同じと考えて良いだろう。

c0294658_20400000.jpg
2017年9月に会ったこのクマが同じクマだとしたら推定6歳7ヵ月もしくは5歳7ヵ月。
ニンゲンの年齢に換算すると、17~20歳くらい。

明らかに別なデカグマと比べてみると・・・
c0294658_22145795.jpg
c0294658_22224498.jpg
お腹のあたりの締まり具合が若々しく見えて、体格の良い二十歳前の若者って考えれば体形的には納得できる。

さて、この2頭のクマが同じクマじゃないか?って思った訳は・・・

顔のアップを並べてみますね。

c0294658_20400017.jpg
c0294658_20400070.jpg
鼻筋にあるオデキと鼻の頭にある縦の筋、同じに見えませんか?

場所は直線距離で1.7㎞しか離れていない。クマにとっては全く活動範囲の内側。

c0294658_22480391.jpg


c0294658_22581693.jpg


きっと同じクマだと思う。
成長するツキノワグマ。
次に会えるのは何年後のことになるのだろう?楽しみだ。



[PR]
by mt1500funagata | 2017-12-19 22:53 | 野生動物との出会い | Trackback | Comments(0)

白い季節の始まり

雪の朝 待ってましたとばかりに七つ森の奥のほうへと向かった。
c0294658_08574693.jpg


うっすらと積もった新雪に森のケモノたちの足跡は見つかるだろうか?

c0294658_08574733.jpg
沼の奥の木立のすき間に佇むカモシカを見たことがあった。
今朝は静かに降る雪を水面に吸い込むだけで、生き物の気配は感じられない。

c0294658_08574795.jpg

多分、僕ほど多くこの風景を眺めた人はいないと思う。
いつの日か、この広い砂地を歩くツキノワグマと出会うことができるだろうか?

白くなった車道に残されていたのは、キツネ一匹の足跡だけだった。

c0294658_08574813.jpg
七つ森の奥のほうの森は、色彩をなくしモノクロームの世界が訪れた。

気配は感じられなかったけれど、この森で冬を過ごす生きものたちの姿を想像した朝でした。



[PR]
by mt1500funagata | 2017-12-12 07:55 | 嘉太神 | Trackback | Comments(0)

大和町 七つ森の奥にある高倉山を南川ダムから望む。
朝の船形連峰は雪が降っていたようだ。白くかすんではっきりしなかった。
c0294658_21003557.jpg

昨日の朝は嘉太神ダム越しに高倉山を見ていた。
c0294658_21003424.jpg
僕にとって今年最後になるかもしれない山登り。
c0294658_21003530.jpg
高倉山で胎内くぐりを行い、一回死んで生まれ変わるってのが今年の最後を締めくくるには良いのかも知れない。
ある事情により山で遊んでいる場合じゃあないという状況になろうとしている。

maro7さん、ウエマツさん、ヨシコさんと僕の4人で高倉山を目指した。
c0294658_21192908.jpg
僕にとっては日常的に走っている高倉林道。雪景色に変わっていた。

僕らが勝手に名前を付けている「ヨシコ門」という入り口から一気に尾根に取りついた。
c0294658_21193084.jpg
この尾根をしばらく進むと胎内くぐりのある岩場に行きつく。

c0294658_21193092.jpg
ほとんど知られていない場所であるし、僕も積極的にこの場所をお知らせするつもりもない。
かつて、この場所を修行の場としていた修験者がいたのかどうかはわからないけれど、僕にとってはこの岩場の胎内くぐりはとっても神聖な場所なのである。

関連記事「高倉山の胎内くぐり」

c0294658_21193042.jpg
狭い岩場の隙間から入り、いったん死んで、
c0294658_21192976.jpg
生まれ変わる。
洞窟を胎内に見立てた疑似再生の行が胎内くぐり。

c0294658_21381245.jpg
maro7さんも

c0294658_21381356.jpg
ウエマツさんも

c0294658_21381383.jpg
ヨシコさんも疑似再生の行を行った。

一年を振り返る、来る年を新しい気持ちで迎える準備って言うなら、どっかのお店で酒飲んで美味しいもの食べて、ボーネンカイー!って盛り上がるのも大いに結構なことだけれど、チバ家の一大事に直面している僕にとっては、胎内くぐりでの疑似再生の行を山仲間と一緒に行うことが神聖な忘年会なのである。

ここの岩場を過ぎ、直線的で急な登りを終えれば東コブはすぐそこ。
c0294658_21474436.jpg
東コブは眺めがいい。
晴れていれば鳥海山だって見える。
c0294658_21474336.jpg
正面に高倉山の山頂を見ながら一旦鞍部に下り、写真正面の急斜面を直登し山頂へと向かう。

もちろん地図に載るような登山道はないけれど、急な斜面をとにかく上を目指せば山頂へ出るのは容易なのである。
ひどくガスった日の下山だけは気を付けないと道迷いを起こすかも知れない。

山頂からの船形連峰の眺めは一級品。
泉ケ岳から北泉、船形山頂から荒神山までが目の前に広がる。
c0294658_21480068.jpg
今日はここまで。船形本山はガスに隠れてみることが出来なかった。

下山後はちょっと寄り道して、クレソンうどんを食べに行った。
c0294658_22003823.jpg
ここは天然クレソンの大群生地。

c0294658_22003873.jpg
少し頂いてうどんを茹でている鍋に入れる。

c0294658_22003900.jpg
雪の上を歩いて来て冷えた体に、ゴマ風味仕立てのクレソンうどんはもってこいの食事だった。

c0294658_22003867.jpg
ご一緒したmaro7さんは旨味が凝縮された海苔の産地である七ケ浜町にお住まい、ウエマツさんは90年の歴史を誇る山梨の名門山岳会「白鳳会」の中心的メンバーのおひとりです。



[PR]
by mt1500funagata | 2017-12-02 22:20 | 七つ森界隈 | Trackback | Comments(0)

テン(貂)のジャンプ

12月、いよいよ暦の上でも冬の到来ですね。

c0294658_09343952.jpg

早朝、冬を迎える動物たちとの出会いを求めて森へと向かった。

ツキノワグマ観察のためのトラップを作っていたら、目の片隅に黄色い動くものがあった。

c0294658_09344027.jpg

顔だけ冬毛に変わったのか?おしろいを塗ったような顔のテンがいた。
少し太っているように見えるのは冬に備えて毛が厚くなってきたからなのだろうか?



ホップ!

c0294658_09344002.jpg

ステップ!

c0294658_09344093.jpg


ジャーンプ!

c0294658_09344081.jpg

着地!

c0294658_09343936.jpg

森の中に駆けて行ったテンを僕も走って追いかけたけれど、もちろん追いつけるはずもなく森の中に走り去っていくテンの後姿を見送った。


ずいぶん前に森で見つけたカモシカの頭蓋骨。
c0294658_09343942.jpg
家に飾ると黒魔術の儀式みたい・・・と家族から言われて、ずっと仕舞ってあった。

明日、森に返しに行こう・・・



[PR]
by mt1500funagata | 2017-12-01 08:20 | 野生動物との出会い | Trackback | Comments(2)