鈴沼は秋が始まりました

蒸し暑い夏の終わりの午後、雨の小荒沢林道を鈴沼へと向った。

あの小島のウメバチソウは咲いているだろうか・・・

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小荒沢林道沿いでは蕾だったウメバチソウも鈴沼では終わりかけ。
クロマメノキの実は熟し葉は色づき始めていた。

雨上がりの沼の向こうに靄が立ち、やがて・・・

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靄は水面を滑るように広がり、沼全体を覆った。

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今年、鈴沼にやって来たのは何回目になるのか覚えてもいないけれど、来るたびに美しさに心を洗われる場所だと感じる。

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蒸し暑い雨の日だったとしても、雨具を持って車から降りてちょっと歩いてみるのも良いものだ。せっかく来てくれたんだからと鈴沼に住まう精霊が粋な計らいをしてくれるかもしれない。





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by mt1500funagata | 2018-08-25 23:35 | 鈴沼 | Trackback | Comments(2)

土曜日(8月4日)の話です。
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どこか人気のないところでオカリナの練習でもしようかと思い立って、山のほうへ向った。
先ずは嘉太神のトレイルカメラをチェック。前回から少し設置位置を変えたカメラは、またまた興味深い動画を記録していたけれど、それは次回の記事で触れたいと思う。

今回は、ブナの話。

今年のブナは豊作のようだ。
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7月にぶなの実が大量に落ちているのを不思議に思った僕は、その道の専門家に教えを乞うた。
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(参考画像)7月上旬に大量に落ちたブナの実

まだ熟していない実を落とすのには理由があるのだろうか?
理由はあった。しかも、それは生き残るためのブナの知恵によるものだった。

ブナの豊作が4年から7年周期であること、ブナの花が雪解け前に咲くこと、実より先にイガが出来ること、そして6~7月に大量の実を落とすこと・・・それはある敵対する虫に対抗するためのブナの知恵によるものだった。

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落ちていたブナの実に小さな穴が開いているのに気づきましたか?

これは、ブナの実しか食わない峨の幼虫「ブナヒメシンクイ」によるもの。
ブナヒメシンクイは、雪解けと同時に羽化しブナの花に卵を産み付ける。

ブナの花が沢山咲き実が豊作だったならば、ブナヒメシンクイも同じく大量に発生する。だから、数年間は凶作・並み作を繰り返しブナヒメシンクイの発生を抑制し、頃合いをみて大量に実を付けてブナヒメシンクイにある程度喰われたとしても大丈夫だと判断した年が豊作年になるって訳。

ブナの花が雪解け前の早春に咲くのは、ほかの虫が羽化する前に花を咲かせてしまい、イガを形成することによって実を守るため。残雪のブナ林で雪の上に落ちたブナの花は美しいけれど、ここにもブナとブナヒメシンクイとの熾烈な生存競争があるのですね。

そして、豊作の年。ブナが地中から養分を吸収し吸い上げるのは6月ころに一旦ストップする。そして、ブナヒメシンクイに喰われた実を選別して落とす。食害を受けた実を落としきってしまったら、養分の吸収を再開するのだそうだ。

なんか、すごくないですか?
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ブナとブナヒメシンクイとの関係性は、もっと複雑で難しいのだけれど間単に要約すると上記のようなこと。

ブナはそれぞれ根っこが違う独立した樹木だけれど、一本一本が独自にその周期を作るのではなく森全体のブナが一斉にその周期を作っているって考えると、示し合わせるようなブナ同士のコミュニケーションがあるなかな???って思ってしまう。
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ブナの森に佇むと感じる独特の感覚、ブナには意思と記憶があるのではないかと思ってしまう感覚。やはり僕はブナには意思と記憶があるのだと思う。

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朝から気温が上がった暑い夏の日、大滝キャンプ場の駐車場の車もまばらだった。

鈴沼にも誰もいない。今日は山に登らない歩かない。鈴沼のほとりで数時間を一人で過ごした。ブナに囲まれ美しい沼のほとりで僕は、やさしさに包まれた。


始めて4ヶ月のオカリナ。上手に吹くことは出来ないけれど、気持ちよく吹く楽しさがわかって来ました。秋には桑沼デビューしたいところですね。


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by mt1500funagata | 2018-08-06 00:25 | 鈴沼 | Trackback | Comments(6)

見たことがない鈴沼

升沢小屋のメンテ作業の帰り際、僕は毎度のことであるけれど鈴沼へ行った。

今まで、見たことのない姿で鈴沼は僕を迎えた。
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水がない!
西日本では未曽有の大雨で大変なことになっているけれど、今の時期にこれほど水嵩が少ない鈴沼は初めてだった。
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こうしてみると、小島が水中で立ち枯れたカツラなどの根元付近だったことが良くわかる。
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やはり鈴沼は行くたびに違う表情、新しい鈴沼を見せてくれる。

梅雨明けって言うか梅雨だったの?って言うほど雨の少ない7月初旬、気候がおかしくなるような何か大きな自然の動きがあるのだろうか?

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ブナの実は豊作か?落ちるのが異常に早い。
或る人から聞いた話。ブナはその年の気候の異常を感じ取って、実を落とす時期を早めたりすると云う話。それは異常な冷夏だったり大型の台風がくるとか・・・何の根拠もない話ではあるけれど、もしかしたらブナは何かを知っているのかも知れない。
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月イチのバイオトイレメンテのための升沢小屋行き。ここのところ、ツキノワグマを追いかけるのに夢中になっていて山を歩いていない。
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うだるような暑さの中を、今日はエンジン草刈り機を担いで歩いた。
小屋周辺の草刈りをしたかったけれど、この暑い中しゃがんで草刈り鎌をふるい続けるのは御免だった。
旗坂キャンプ場の駐車場にはさすがに三連休と思わせる県外ナンバーの車も数台停まっていて、遠くから来てくれる人は綺麗な小屋で迎えたいものだ。
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ビフォー
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アフター
だいぶキレイになりました。



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by mt1500funagata | 2018-07-14 21:27 | 鈴沼 | Trackback | Comments(2)

船形山、ブナの森へ

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山頂を目指すつもりで出て来たのだけれど、雪は僕らが山頂へ行くことを拒んだ。

谷に下りた。
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風は身を潜めて静かな森の空気として僕らを包んでいたけれど、谷に下りた僕らに優しく滝の飛沫を運んで来た。
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大滝大龍神をこの場所から見るのは久しぶりのこと。
厳しい冬に向かって人を拒絶するように、冷たい氷の壁を作っている最中だった。

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今秋、先輩のKさんが東北放送のテレビ取材でこの場所を案内した時、水中カメラは滝つぼに泳ぐ尺イワナの姿を映し出していた。
氷に閉ざされてゆく冷たい滝つぼに今もイワナが泳いでいるのかと思うと不思議でならない。

谷から上がると、あたりは霧に包まれ始めた。

鈴沼へ
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鈴沼のほとりで、いつも同じ姿で立っているシナノ木。
20年以上も前から同じ姿のシナノ木を僕は見続けている。
もっともこの森に流れている時間にしてみれば、僕が通い続けた20年なんてほんの僅かな時にしか過ぎない。

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鈴沼に張った氷に雪と風によって描かれた紋様の曲線は、優美で柔らかさと冷たさを併せ持つけれど、この紋様は今この瞬間だけのもの。
何十年も姿を変えない大木とその日その日で姿を変える氷の造形、緩やかな時間と瞬間の時間が森には同時に流れているって思うと、これも不思議でならない。

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船形山の麓の鈴沼?行ったことあるよ・・・と言う人多いでしょうね。

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船形山の麓の鈴沼?何度も何度も行ったことあるよ・・・と僕は言う。

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でも、何度行っても行くたびに新しい鈴沼を見ているよ・・・と僕は付け加える。



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by mt1500funagata | 2017-11-23 22:41 | 鈴沼 | Trackback | Comments(0)

目になれし山にはあれど秋来れば神や住まむとかしこみて見る

見慣れた山の景色ではあるけれど秋が来れば神様が住んでいるのかと思えるほど美しく見える、と詠んだのは石川啄木でありますが、
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僕にとって見慣れているはずの鈴沼であり、毎年のことなのだけれど秋の美しさは神様がお作りになったんだろうと思ってしまう。
まあ、秋に限ったことではないけれど。

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今年は少し早めに色づきの一番良い時期を迎えたようだ。

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これから一週間が鈴沼の紅葉が一番美しく見える時期だろう。
あたりのブナ林の紅葉時期に合わせたら、冷たい水が流れ込み冷たい空気に包まれている鈴沼の紅葉は時期を逸してしまう。

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ぽつりぽつりと雨粒が水面に小さな波紋の輪を作り、ほとりの木の葉から落ちるしずくがほんの少し大きめの波紋の輪を作り、時たま岩魚が跳ねて水面にもう少し大きめの波紋の輪を作った。

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目になれ親しんだ鈴沼に秋が来て、神様が住んでいるかのような美しい景色を僕はかしこみて見ていた。



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by mt1500funagata | 2017-09-16 21:53 | 鈴沼 | Trackback | Comments(0)

深碧(しんぺき)とは、宝石の緑碧玉(りょくへきぎょく) の色のような力強く深い緑色のことを指す。
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色名の「碧 (へき)」とは「碧玉(へきぎょく) 」を意味し、碧玉に由来する『碧色(へきしょく)』よりも濃い緑色のことをいうのだそうだ。
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僕は鈴沼に幾度も幾度も行く。

本当に美しいものは何度見たって、見るたびに新しい美しさを覚えるものだ。

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碧く夏空が晴れ渡っていたけれど

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そよぐ風に秋の気配を感じた。

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ああ、こんなところにウメバチソウが咲くんだ。

この花は夏に終わりを告げる花。

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近づくほどに木の葉の色も秋の気配。

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沼のほとりにはトリカブトが紫色の花を咲かせていた。

深碧の鈴沼に吹く風は、いつの間にか秋の風に変わっていた。


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by mt1500funagata | 2017-08-27 21:04 | 鈴沼 | Trackback | Comments(0)

船形連峰 大滝キャンプ場近くにある鈴沼。

スライドショー(2分45秒)にしてみました。


今まで何度訪れたか憶えちゃいない。
季節ごと、一日のうちにだって時間ごとに違った表情を見せる。

もし、あなたが鈴沼を訪れたなら、立ち止まりしばらくの時間身を置いてみるとよいと思います。
通り過ぎるだけではわからない鈴沼の空気、そこに住まう生き物や精霊の気配を感じることが出来るかもしれませんよ。


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by mt1500funagata | 2017-08-01 00:36 | 鈴沼 | Trackback | Comments(2)

鈴沼に靄立ち込めり

鈴沼へ

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蒸し暑い夏の夕方。

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鈴沼には日本の夏の美が凝縮されていた。

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時たま岩魚が跳ねる水の音を聞きながら、その時を待った。

それは向こう岸から音もなくやってきて幻想的な光景を作りだした。

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瑠璃沼と称せられる鈴沼がめったに見せぬ姿。

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鈴沼に靄立ちこめり




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by mt1500funagata | 2017-07-22 23:48 | 鈴沼 | Trackback | Comments(2)

鈴沼は吹雪模様

明け方、里に降った雨も山では雪だった。
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僕は週末に降る雪を待っていた。

鈴沼に降る雪、小島のナナカマドの枝に付く霧氷を期待して山へ向った。
 
小荒沢林道の入り口から歩く覚悟で出てきたのだけれど、思いのほか積雪量が少なく郡境(ぐんざかい)の十の字石入口まで車を進めることが出来た。
郡境までは日が当たったブナ林が輝いていたけれど、車を降りた途端に吹雪いてきた。
片道およそ5kmの林道を風に逆らいながら黙々と歩く。
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こうして雪を踏みながら鈴沼を目指せるのは、あと何年くらいかなあ?なんて事を考えながら歩いていたら、7~8年前の事だっただろうか?酒席での故I先生の言葉を思い出した。I先生ってのは、R山岳会の重鎮で県議会議員も長く務められていた方で、当時90歳代の後半でまもなく100歳に手が届くほどだった。歓談のなかで誰かが言った。「もうそろそろ70歳近いので・・・」概ね100歳のI先生が一喝「60代の若造が何を言っておるか!」うーん、僕なんて鼻タレ小僧だ。
平成4年10月、I先生はブナの会の代表者を伴って、当時の林野庁長官へ船形山のブナ林の保全を求め直談判を行った。僕らもハガキ作戦と称して署名ではなく、直接林野庁長官宛に大量のハガキを送り船形山のブナ林の保全を訴えた。
一時は伐採の危機に瀕した船形山北面の朝日沢源流部のブナ林が原生の姿を留めているのは故I先生のご尽力の賜物なのである。

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大滝キャンプ場は雪に覆われ、鈴沼への道では膝まで雪に潜った。

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鈴沼は吹雪。
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墨絵のような鈴沼のほとりに佇んで侘び寂びに浸る・・・なんて風流なことをしてるような状態じゃなかった。
寒いーーです。
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全面氷結する前の鈴沼を見ることが出来て良かった。
小島のナナカマドはもうじき深い雪に埋もれる。
氷の下ではイワナたちがじっと耐えて春を待つ。
満月の晩には雪原となった沼の上を月明かりに誘われたウサギが跳ね回ることだろう。
流れ込みの上流の梅花藻は凍ることなく冷たい水に揺れているだろう。
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モノトーンの鈴沼。
頭の上を冬の風が大声で唸りながら渦巻いていた。

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車に戻ればボンネットに10cmほど雪が降り積もっていた。
行きのトレースは完全に消え、5時間半、往復10.5km全行程ひとりラッセルの一日でした。


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by mt1500funagata | 2016-12-10 20:10 | 鈴沼 | Trackback | Comments(2)

鈴沼に冬の訪れ

寒い朝、鈴沼の畔に佇んでみる
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昨日までの好天で沼の氷は解けていたけれど
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今朝は雪
いよいよ本格的に冬が始まったようだ

沼が全面氷結し雪に閉ざされる
これから半年以上、容易に鈴沼を見に行くことはできなくなる
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山から下りてきて沼を渡り、森へ抜けてゆく風も冬の声だった


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by mt1500funagata | 2016-11-23 20:57 | 鈴沼 | Trackback | Comments(0)