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カテゴリ:野生動物との出会い( 107 )

ツキノワグマの距離感

僕がツキノワグマの観察フィールドにしている船形山の麓、嘉太神集落跡地。

6月からトレイルカメラを設置して定点観察を始め、7月からはカメラを2台にして観察を続けていて、10日おきくらいに記録メディアの交換をするのだけれど、2台で150カットくらいのクマの動画を捉えている。
なんか面倒くさくなってしまって正確なカット数は数えなくなってしまったけれど、今年は合計で500カット近くの動画が撮れていると思う。
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7月中は日が長いのを良いことに仕事帰りに時間を見つけては定点観察ポイント近くに行ってクマが現れるのを待った。夕方6時過ぎから待っていると、ほぼ決まって7時前後にクマはやって来る。
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道路の向こうからやって来るクマ。

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20mくらい先で道路を横切るクマ。

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トレイルカメラを設置しているクマの道の向こうからやって来るクマ。

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最初のクマと同じ個体かな?

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こんなカンジで待っている。(道路の右側にクマがいるの分かりますか?)ここまで5枚の写真はそれぞれ別な日だけれど、全て同じ場所で車の中から撮ったもの。

森林パトロールの仲間と一緒に待っていた時も、「ちょうど7時だから、そろそろ道路の向こうからか、そこの電柱の脇かクマの道からクマが来ると思うよ」なんて話していたそばから「あっ!来た!来た!」と電柱の脇からクマが顔を出した。窓を全開にして声を出してしまったので、すぐに藪に身を隠してしまったけれど、僕が一人で静かにクマが近づいて来るのを待っているってことを繰り返すうちに、ツキノワグマの距離感が分かってきた。

およそ20m。

7時に現れるクマは僕のジムニーを何度も見ているだろうし、僕の臭いも分かっていると思う。
車の窓から身を乗り出している僕と目が合っても、慌てることなくどんどん近づいて来る。そして決まったように約20mのところで静かに藪に姿を隠す。僕にとっても20mって距離は車の中に居れば怖くはないけれど、外に立っていたとすればギリギリの距離。クマにとっても許容できる距離は20mくらいなんじゃあないかと思うようになった。

もちろん、ここでのクマと僕の関係と森で偶然出会うクマは別物って話ではあるけれど、クマが人間に対して許容できる距離感が20m前後だとすれば、20m以内でバッタリ遭わないようにすればよい訳で、森や登山道を歩いていて不安な時は定期的に大声を出すとかホイッスルを吹いたりとか、(一般的に言われている)クマに自分の存在を知らせることは有効なのではないかなあ?と考える訳です。(クマ鈴やラジオはクマの気配を感じられなくなるので、僕は使いませんけどね)

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目の前にこんなマダラな大グマが突然現れたら怖くてたまりませんねえ!

相当数たまったカットの中には、僕と背比べをしてくるクマの姿もあった。
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立ち上がると僕の胸のあたりに手がかかる。と言う事は、以前ウチで飼っていたセントバーナードとほぼ同じ大きさ。
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ウチにいたのはセントバーナードとしては小柄な雌で体重は47㎏だった。クマは手足も太いので体重が約50㎏で3歳くらいのクマではないのかな?

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クマは突然の明かりにも動揺しないことが分かった。別なカメラが照射した42個のLEDライトが突然光っても全く意に介していない。地元の農家さんがクマよけだと言って畑に設置しているセンサーライトは、まるで意味がないってことですね。

数ある動画から記事中に関係のある数カットをまとめてみました。(3分28秒)





by mt1500funagata | 2019-08-11 23:43 | 野生動物との出会い | Trackback | Comments(2)

僕のツキノワグマ観察フィールドである船形山の麓、集団移転で住む人がいなくなった嘉太神集落跡地。
ツキノワグマがたくさんいる。
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夕方の時間、日課のように行っている。クマも時間を合わせたように僕の前に現れる。
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今年見たクマの数は14頭までは数えたけれど、そのあとはもう憶えていない。

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かつては人家の玄関先へと続く小路も今はクマの道。

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トレイルカメラを設置しておよそ8週間。ツキノワグマを捉えた動画は300カット近くに及ぶ。

その中からちょうど大きさを比べられるような写真を動画から切り出して、僕を写した写真と合成して大きさを比べてみた。
僕は身長179センチ、体重70キロ。さて、下に並べたクマは体長何センチ?体重何キロくらいでしょう?

20枚ありますけど20頭じゃないですよ。さあ全部で何頭?クマ好きでお暇な方は個体識別にもチャレンジしてみてくださいね。


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1-A
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2-A

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2-B

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3-A
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3-B
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4-A
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3-C
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5-A
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3-D
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3-E
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6-A
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7-A
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2-C
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3-F
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1-C
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2-D
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2-E
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8-A
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3-G
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9-A


by mt1500funagata | 2019-07-26 01:05 | 野生動物との出会い | Trackback | Comments(2)

船形山の麓、嘉太神集落跡地。
今年もたくさんのツキノワグマが行き交っている。
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6月から設置しているトレイルカメラが捉えたツキノワグマの動画は、既に200カットになろうとしている。
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沢山ある動画データを使って色々と分析したりしているけれど、なかなか時間がかかっている。

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これだけ沢山の動画が集まると、中には面白いカットがいくつか出で来る訳ですね。

今の時期(7月)はツキノワグマの恋のシーズンに当たる。

恋した彼女を待ち伏せするツキノワグマの姿を捉えたカットがあった。
けっこう面白い。カメラに写らないところでも、こんなふうにしているんだろうなあ~って想像すると楽しくなります。

「恋するツキノワグマ~彼女にアタック~」(1分6秒)




by mt1500funagata | 2019-07-18 23:27 | 野生動物との出会い | Trackback | Comments(0)

山に行かない雨の休日は、森にクマを探しに行きましょう!
ってことで、雨の森をウロついて今日一日で4疋のクマを見た。

順を追ってお話を進めましょう。

最初に向かったのは、僕の動物観察のホームである嘉太神地区にある「桑の木交差点」。
マグワとヤマグワが並んでいるこの場所は、ケモノ道が交わり色んな動物がやって来る
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三日前の夕方にトレイルカメラをセットしておいた。
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キツネも来る。
後ろに光っているのはタヌキの目玉。この後、キツネは左から別のタヌキに突進され跳ねて身体をひねって一目散に逃げ出した。

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イノシシも来る。
クマが木に登って落としたクワの実を食いに来るようだ。

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クマも来る。
通りすがりに、落ちたクワの実をつまみ食いするってとこかな?

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子グマも来る。
今年親離れする(した?)2年子(満1才)くらいの大きさだろうと思う。付近に親グマがいたのかも知れない。

大きさを僕と比べてみた。
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この大きさのクマが一番危ないんだよねー。人に積極的に襲ってくる年ごろ。爪で引っ掻くのではなく、足に咬みついてくるから重傷になるケースも多いらしい。

次に向かったのは、トレイルカメラの定点観察地点。
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前回SDカードの交換をし終えたのが、6月26日18:50(カメラの録画データ)。立ち去ったのはその3分後くらいなので、18:53ころだろう。

今日、そのカードを回収してみると・・・
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あら!僕が立ち去った3分後にクマが写ってる!
もしかして、僕が帰るの待ってた?

今日、この場所でカメラのカード交換のために蓋を開けたのが13:34(同じく録画データ)現場に着いたのは3分くらい前なので13:30ころ・・・
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あら!僕が来る10分前にクマが写ってる!
桑の木交差点のカメラをこっちに移しこの場所に2台のカメラを設置してみた。30分くらい僕はここにいたので、このクマは近くで僕のやっていることを観察していたのだろう。って言うか、近くにいました!

設置を終えて車を30mくらいバックさせた時、僕がいた場所から5mも離れていない繁みからクマが飛び出てきた。ほんの10数秒後のことである。(写真は間に合いませんでした)
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クマはこの繁みのどこかで、僕を観察していたに違いない。

この場所には夕方戻って来てクマを待つつもりで、少し上の升沢のほうに行ってみた。
戻り道の風早峠の水汲み場の手前で、子グマが道路に落ちたクワの実を食ってた。僕のジムニーに気が付くと同時に藪へ身を隠した。30mくらい手前で車を止め、また出て来る場合があるのでカメラを構えてしばらく待ってみる。予想通りでてきた。身体を半分出してあたりを見回し、僕のジムニーを見たところで「あっ!まだいる!」って言って、また隠れてしまった。
「悪かったなー」と言って、僕は車を出した。また数分後にはクワの実を食いにくるだろう。

そして、夕方の嘉太神。
トレイルカメラの近くで待機すること40分。そろそろ帰ろうかとエンジンキーをオンにしスターターを回そうと思ったその時、車のすぐ後ろから2疋のクマが飛び出した。

ツキノワグマの恋の季節は始まっている。雌グマを雄グマが追いかけたのだろう。
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薄暗くなってきた時間に僕が撮った写真はブレブレだったけれど、トレイルカメラはこの2疋のクマを捉えていただろうか?

昼過ぎに、クマ見に行こうって出かけて4疋のクマを見られちゃう。去年は一日に17疋(延べ)のクマを見たツワモノのオカアチャンもいる。やっぱ、この辺ってツキノワグマ多いわ!

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ついに僕のトレイルカメラはニホンジカの姿を捉えた!心配ごとが現実に近くなってきたように思う。あと3年後には、この辺でもイノシシと同じくらい普通に見られるようになるような気がする。僕はこの写真を関係役所に送る事しかできないけれど、爆発的に増える前に対策を講じなくてはならないと思う。


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夕方を待つ時間の中、久しぶりに三脚立てて写真を撮ってみた。

山登りしない雨の休日でした。



by mt1500funagata | 2019-06-29 23:26 | 野生動物との出会い | Trackback | Comments(4)

暦の上でも初夏を迎え、桑の実が実って来た。
もう、嘉太神地区のクマたちも活発に動き始めるころだろう。

嘉太神の道路脇にはクマに折られた桑の木の枝が落ち、道路上には桑の実が入ったクマのウンチが落ちている。
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棒で突っつき、内容物を調べてみると桑の種と何やら植物繊維が混ざっている。
ニオイを嗅いでみる。桑の実の甘くフルーティーな香りを予想していた僕はいきなり鼻に近づけてしまったことを後悔した。

強烈なウ○コ臭さ!ではないですよ。煎茶のお茶っ葉の5倍増し、まさにそんな感じ。ほのかなお茶の香りは心が和む香りがするけれど、そののお茶っ葉の5倍から10倍くらいの濃さ!強烈だった。こうして写真を見ていると、その強烈なニオイが鼻と脳みその中間くらいからよみがえって来る。

家で一番の早起きな僕は猫のトイレからウンチを片づけるのが朝の日課で、猫のウンチのような不快なニオイではないけれど、もし皆さんがクマのウンチのニオイを嗅ぐ機会があったら、少しずつ鼻に近づけることをお勧めします。


さて、今日嘉太神に向かったのは、一週間前に設置したトレイルカメラのSDカードの交換。
昨年と同じ場所で1ヶ月早くから観察を開始していたのである。定点観察は数年続けることに意味があり、一年限りでは分からなかったことや新しい発見が期待できると思う。そして、一番の関心はあの片腕のクマが映らないかなあ~ってこと。

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はい!来てますね!奥に映っている三脚が僕のトレイルカメラ。

一週間で、カメラは67カットの動画を記録していた。そのうち前後6カットは設置と交換の時に作動したもので、実際には61カット。
タヌキ・キツネ・イノシシ・人間・タイムラグを除き、ツキノワグマは29カット記録されていた。

今回は動画編集ではなく、切り出し画像すべてを載せます。
クマ好きでお暇な方は個体識別にチャレンジしてみてください。後ろの杉の木に巻き付けてある紐が個体の大きさの判別の目安になるかと思います。新しくしたカメラで日付と時間もほぼ合っていると思います。

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by mt1500funagata | 2019-06-13 23:08 | 野生動物との出会い | Trackback | Comments(4)

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僕が毎年4月に観察を続けている船形山麓嘉太神地区にある水芭蕉の咲く湿地。

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今年もそろそろヤツが現れるだろうと思い観察を開始した。
上の写真は4月8日。
まだヤツは水芭蕉を食いに来ていなかったけれど、僕はここ2~3日のうちにヤツは現れると感じた。

そして4月10日夕方。
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トレイルカメラを設置しに来てみたら、ヤツはすでにここへ来ていた。
食った水芭蕉の感じは味見に来た程度。必ずまたやって来ると思いトレイルカメラをいつもの木の幹に設置して来た。
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この木にトレイルカメラを設置するのは今年で3年目。

観察の記録を付け始めて5年目になる。
ツキノワグマが、ここの水芭蕉を食いに来はじめたのは、
2015年=4月7日~10日の間
2016年=3月27日~4月2日の間
2017年=4月10日
2018年=4月4日
そして今年2019年=4月9日~10日の間

毎年4月初旬の10日間の間に、ここへ水芭蕉を食いに来るのですね。
もっともヤツはカレンダーなんて見ることが無い訳で、水芭蕉の生育具合に合わせてやって来るという事なのだけれど。

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カメラを設置して3日後、4月13日の朝。
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味見程度ではなく本格的に食い散らかされた水芭蕉があった。

ここには確実にツキノワグマが来る。今も近くにいる可能性が高い。
そんなところに足を踏み入れる訳だから、車を止めたらクラクションを連続的に鳴らし続ける。
車から降りたら大声で「ホーイッ!ホッッホーーー!」って何度も叫ぶ。
腰にはロックを外したクマ撃退スプレーをセットし、現場に近づく際にも「ホーイッ!ホッッホーーー!」って叫んでは周りの気配を伺うを繰り返す。
クマ鈴やラジオは辺りの気配を感じることが出来なくなるので、僕にとっては持つことは逆に怖さを増長する。
クマ鈴やラジオがエサ場を離れたくないクマにとってクマ避け効果がない事は2016年の秋田の連続人身被害で実証済みなのだから。

僕は昨年のクマの追い払い実験で「ホーイッ!ホッッホーーー!」が爆竹の次に効果的であることを知った。
だから、僕は叫ぶ。


さて、叫びながら近づいて回収したトレイルカメラの画像です。
昨年酷使したせいで、時計と録音の機能は壊れてしまった。動画からの切り出し画像です。
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時計が壊れているので時間はわからないけど、4月10日18時から13日未明の間の約10分間、ツキノワグマはこの場所で水芭蕉を食っていた。

ツキノワグマが水芭蕉を食いに来る季節は、湿地の土手に春の花が咲き始める時期でもある。
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嘉太神地区で水芭蕉やカタクリを見つけて、写真を撮るために車から離れるってことはツキノワグマに接近しに行くことと同じことって考えたほうがイイ。

そして、日中は升沢小屋まで用足しに行ってきて、帰り道の夕方に再び現地に向かった。
ツキノワグマは、そこにいた。
車が近づく、クマはこちらの様子を伺い慌てて逃げ出す様子はない、さらに近づき窓を開けた僕とクマの目が合ったとたんにクマは駆けだした。

車から見えると言っても僕はクマがいるって前提で見ているから見える訳で、普通に走行していたらヤブと木立に阻まれて見つけることは出来ないだろう。通る車のほとんどはクマに気づかないだろうし、クマもそれほど気にせずに水芭蕉を食い続けるのではないだろうか?って思った。

駆け出したクマは、きっとこう言っていたと思う。
『あー!あのジムニーだ!大声でうるせーヤツがきたー、食うのやめて隠れとこ!』
僕がヤツを直に見たのは今日が今年初めてだったけれど、ヤツは僕のことを何度も見ているだろう。少なくとも僕の大声は間違いなく何度も聞いているはずだ。


by mt1500funagata | 2019-04-13 22:08 | 野生動物との出会い | Trackback | Comments(4)

スナック菓子とキツネ

今日の七つ森。
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何をするという事でもなく、いつものように山のほうに向かう。

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雪面に残されたタヌキの足跡をたどると・・・

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雪の中でじっと僕を見つめるタヌキがいた。
少しずつ近づいてもタヌキは逃げない、3mくらいまで近づいて写真を撮っても逃げなかった。

遠くから見ていた時から僕は気づいていたけれど、このタヌキは疥癬症に罹っていた。


ある方から本を送って頂いた。
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先週のブナの会の山行で餌付けキツネのことを話し合った方が、ぜひ読んでみたらいかが?と言って送ってくれた。
2006年に映画化された「子ぎつねヘレン」の原作者であり、北海道の獣医師、竹田津実さんが書かれたエッセイ集「タヌキは先生キツネは神様」という本。

表題の「スナック菓子とキツネ」という話が掲載されている。

ーーー「食べられる。だが食べ物ではない」もののためにキツネたちが死んでゆく。「無知なるやさしさ」は時として暴力となる。そのことを物言わぬ者たちが生命(いのち)をかけて告げようとしている・・・

という書き出しで始まるその一節は、観光客から与えられるスナック菓子を食べ続けたキタキツネが「疥癬症」で死んでゆくことを取り上げた一文だった。道端でキツネの姿を見つけるたびに観光バスはストップし乗客は喜んでキツネにスナック菓子を与える。獣医師の目から見たキツネはどのキツネも栄養不良で、とくに痛々しいのは、その年生まれの子ギツネであったと続く。

キタキツネを約40年に渡り調査観察を続けた獣医師の話しでありますから、少し長くなりますが一緒に読んでみてください。

===
子ギツネは成長期の一番大事な時に主食が旅人の与えるスナック菓子だとどうなるかを証明していた。やせこけ目瞼(まぶた)に目やにをため、瞳は輝きを失って誰の目にも脱水症状が読み取れた。下痢のためお尻の部分は汚れ、本来ならば赤褐色の一番美しい時であるべきその姿は、見るも無残な形相で人々に媚びを売り続けていたのである。親も同じであった。
ーーー(中略)ーーー
キツネたちの食べ物は、肉類である。だが時として少量の植物性のものも食べる。しかしあくまで「食べ物」は肉類なのだ。決してスナック菓子なんぞではないのである。
「食べられる。だが食べ物でない」物を食べたキツネたちが急速に栄養不良となっても不思議はない。
しかもスナック菓子類は甘い。その甘さが食欲は満足させるが結果は下痢となるのである。疥癬症の原因はヒゼンダニという寄生虫である。この虫は、ほとんどのキツネ、タヌキなどの毛皮獣には寄生しているのが普通である。
ダニは剥離した皮膚を食べて皮下組織へもぐり込み、トンネル状とする。しかし寄生主が元気であればそれはすぐに修復、治癒となる。ところが寄生主が栄養不足であれば修復は遅れその間にいろんな菌に感染する。その上に下痢が続いて免疫力が低下していれば致命傷となるのである。症状は全身に現れ。寄生主はかゆくてかゆくて眠ることも出来なくなる。一日中ポリポリとかく。それはやがて全身の脱毛を強制するのである。
そういった生き物がどうなるかはすぐに想像できるのである。氷点下20度を越す地で裸同然で放りなげ出された動物たちは確実に死の転帰をとるのである。
悲劇的なことは原因をつくった人間側も悪いことをしたと感じていないことである。
「ちゃんと餌をやったわよ!喜んで食べました。私たちはいいことをしたのです!」
と・・・無知なるやさしさのために死んでゆく動物はいっぱいあるのである。
ーーー(中略)---
「食べられる。だが食べ物でない。」この言葉の深い意味をキツネたちは身をもって問うている。
======

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雪が深く積もった山中の渓流沿いにはキツネの足跡が一筋残されていた。




by mt1500funagata | 2019-01-26 22:39 | 野生動物との出会い | Trackback | Comments(9)

船形山の麓、嘉太神にカワガラスを見に行って来た。

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カワガラスってのは、カラスに似た色なのでカラスと名前についているけれど、カラスじゃあない。スズメ目カワガラス科に属する、どちらかと言えばスズメの仲間だけど、カワガラスは動物食。水中の川虫や小魚などを食べるらしい。

一昨日と同じ場所にカワガラスはいた。

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白鳥やカモ・ガンのような水鳥だったら水の中にいるのは不思議ではないけれど、小鳥と言っていいほどの小さい鳥が水中にもぐって採食する姿に心が動く。瞼が透明で、まるで水中メガネのようにしてエサを見つけるのだとか。
よーく見ていると水から上がった身体がほとんど濡れていない。油のような分泌物を身体じゅうに塗り込んで、身体と水の間に空気の膜のようなものを作るのだとか。その分泌物をジャケットに塗ったならば、とんでもない撥水機能のウェアが出来るだろうに。

動画です。(60秒)

youtube直リンク↓↓
https://youtu.be/TIHEJZWBVUg


もう少し上に上がった升沢付近では、ヤマドリが深雪をラッセルしているところに出会った。
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動画です。(21秒)

youtube直リンク↓↓
https://youtu.be/5tyjxqF1EBM

先日、厳しいラッセルをしてきた僕は言いたい。
「飛べるんだったら、飛べよ!」
僕は飛べるんだったら飛びたかった・・・。


近々、楽しい計画をしている七つ森の偵察に向かったところで、尊敬する先輩であるKさんと出会った。
今日も七つ森の二山を登って来たらしい。
会話を大まかに再現します。
僕「今日は七つ森だったんですね」
Kさん「んー、年末年始は七つ森だなー、30日は大森(笹倉山)に行ったんだー」
僕「えー!?30日だったら大森山でもラッセル大変だったんじゃないですかー!?」
Kさん「んー、大雪だったからねー大変だったよ。んでも初日の出登山の人がナンボか楽できっかと思ってさー、トレース付けてきたさー」

初日の出登山に笹倉山には多くの人が登ったようだった。でも、深雪に最初のトレースをKさんが付けてくれたことを知る人はいない。やっぱり、僕の尊敬する先輩だった。

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Kさんと会話していると、オオタカが鎌倉山の山頂付近から飛び立った。

冒頭のカワガラスの生態は、その時にKさんから聞き覚えたもの。

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今度はノスリが大空を舞った。




by mt1500funagata | 2019-01-03 22:12 | 野生動物との出会い | Trackback | Comments(2)

疥癬症になった餌付けされていたキツネ。
KHB(東日本放送)のローカルニュースで取り上げてもらいました。

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今回は僕が前面に出ることなく、専門家の意見を聞きエサやりの弊害を示してほしいとお願いしていたのだけれど、そこまでの時間枠がなかったのか、専門家の話はありませんでした。

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しかし、内容はシンプルだったけど人間のエサをもらい続けたキツネが、こうなってしまったというのはうまく伝わる良い内容だったと思います。

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打ち合わせから含めると、およそ40分間の電話取材で僕は相当感情的なことも話してしまったけれど、当然その部分はカット。

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疥癬の原因であるダニは自然界に存在しているし、エサやりが疥癬症の「直接の原因」とは言えないけれど、人間が与えた自然界にない甘味塩味などの調味料や添加物の入った「食品」を食べ続けたキツネがこうなってしまったのは事実なのですね。

ニュースを見たという人から、何本かのメールをいただいた。

つい先日、疥癬症のキツネの1匹が車に轢かれて死んだというのだ。
テレビに映っていたのは、僕がキズなしと呼んでいたほうのキツネ。僕が写真撮ったのはキズありと呼んでいたほうのキツネである。という事は死んだのはキズあり?もっとも未確認の情報なので何とも言えないけれど、空腹で何としてもエサにありつきたい思いで車に近づき、病気で緩慢になった動きでは轢かれてしまう可能性は十分にある。
人からエサをもらい野生を失い、抵抗力が弱くなって疥癬にかかり、空腹に耐えられず道路に飛び出したところを轢かれてしまったのでは、そのキツネを想えば、切なくて可哀想すぎて・・・。言葉にならない。

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可哀想だから、何とかしてあげられないの?
普通の人だったらこう思うでしょう。
捕獲して動物病院で治療してもらえば、疥癬症は治るかもしれない。仮に治ったとしても、食べ物は人からもらうものと学習してしまったキツネが病気治癒~再放獣したところで野生動物としての採食活動が出来るものだろうか?可哀想だからとエサをもらい、可哀想だからと病院で治療してもらい、自分でエサを獲れるか分からないのに厳しい冬の山に放される。雪道で通る車もめっきり少なくなった道路でひたすらエサをくれる人を待つ。そんな姿のキツネを想像すれば、切なくて可哀想すぎて・・・。

このままだったら、この冬を越せることは出来ずに1年に満たない命を終える可能性が高い。僕らの出来ることは人と近い距離で関わってしまったこのキツネを忘れないで姿を目に焼き付けること。同じような不幸なキツネを生み出さないために。



by mt1500funagata | 2018-12-05 23:42 | 野生動物との出会い | Trackback | Comments(4)

前記事、前々記事にもコメントをくれた田澤さん。
このキツネの姿を目に焼き付けたくて、一日に何度も往復してキツネの姿を目にしたそうだ。
送ってくれた写真↓
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まぎれもなく疥癬症を発症したキツネ。場所はエサやりが頻繁に行われていた船形山山麓の風早峠付近。

ちょっと待て!僕が会ったキツネと別な個体ではないか?
元々、餌付けされてしまった兄弟キツネは良く似ていて、本当に良く見ないと個体識別が難しかった。

僕が撮った写真と比較してみた。
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上が僕が出会ったキツネ(11/28)、下が田澤さんが出会ったキツネ(12/1)

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良く似ているけれど、僕が撮ったすべての写真で比較すると尻尾の毛の抜け方が違うように思えるし、顔のアップでは鼻先の角質化が違っていて、上のキツネのほうが症状は重いと思われる。おそらく、同じ場所でエサをもらっていた兄弟キツネのような気がする。もしかしたら2匹とも疥癬症を発症してしまったのか。(断定はできません)

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田澤さんのようにこうした情報をくれる人もいれば、前々記事を見て新聞社や放送局に取り上げてもらえるよう依頼の電話をしてくれた人もいる。河北新報の記者とはパトロールを終えたすぐ後に会って話をし写真を渡したのだけれど、その電話は記事を書く記者さんの大きな励みになったことだろう。

泉ケ岳自然ふれあい館オーエンスの掲示板。
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以前からあった「エサやりはやめましょう」の下に、何故エサやりがいけないのかを具体的に示した掲示物を持参し掲示してくれた人もいる。

いくら野生動物に人間の食品を与えることが悪い事だと訴えても、具体的になぜ悪いのかが分からないと、与える人は理解が出来ない。

何故いけないか?どんな悪影響があるのか?を正しい知識として持っておくべきと考えて、専門家に問い合わせのメールをして回答を得てくれた人もいる。
僕らだけが知っていれば良い事ではなく、多くの人に知ってもらいたいと思っているので、転送してくれたメールを下記に転載しますが、回答をくれた方の承認を得ていないので具体的なお名前は伏せます。
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〇〇 〇〇 様

メール拝見いたしました。

野生動物への餌付けについて回答いたします。

雑食性の動物への餌付けによる健康影響について

雑食性の動物は野菜・果物・魚介類・食肉など

人間と共通の食べ物を食べても健康への影響は無いかまたは無視できる程度のものです。

もともとの生息域でそれに類する野生の動植物を摂食していますし、

動物園でもこのような人間用の食材も含めて与えています。

ただし、当然のことですが野生動物は「人間用に調理した食品」は本来食べません。

人間の食事用に調理したものは味付に使用する調味料などによって

本来それらの食材には含まれていない成分が入っており、

長期にわたり摂取すると健康に影響が出る可能性も考えられます。

また、食べる量や配合のバランス、与えるタイミングも本来動物が必要とするものと異なると

肥満やそれに付随する糖尿病などの病気を発症する引き金になることがあります。

そのような意味合いで最近はペットであっても専用に配合されたペット用飼料を与え、

人間の食事は与えない方がよいとの指導がなされています。

野生動物に餌付けをすることによる生態系への影響について

野生動物は本来自らの生息域の中で必要な量の食物を摂取しています。

野生動物の行動の大半は摂食のための行動で、それが運動にもなり

エサや行動範囲がその動物の生息に適している場合には

食事の量・成分・運動というバランスのとれた生活を送ることができます。

また、それは同種の動物同士や人間を含む他の動物と適切に棲み分けることになり、

縄張りを確保できればそこで繁殖し、その地域で安定した生息数を保つことができます。

そして、そのことはその地域での生物多様性の保全に繋がります。

しかし、人間が餌付けしてしまうと「楽にエサが手に入る」ことを学習し、

本来の生息域から出て人間の生活圏に出没し、

結果として人間に危害が加わったり、農作物への「獣害」を引き起こすこともあります。

それにより駆除の対象になったり生息域を追われたりすると生態系のバランスが崩れ

その地域の生態系全体に影響が及ぶことにもなりかねません。

野生動物にはエサを与えずに、見かけてもそっとしておくのが一番動物のためになります。

動物はエサが必要ならば自分で行動します。

〇〇〇動物公園飼育展示課 〇〇

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こうして実際に動いた人がいるし、このブログを見てくださっている皆さんは野生動物に人間の食品を与えることは悪い事だと言い広めてくれることだろうと思っています。

僕らはこのキツネたちに謝ることしかできないけれど、同じ過ちが繰り返されないよう強く願っています。

電話をしてくださった方のおかげもあって、東日本放送さんがテレビで取り上げてくれるようです。水曜日夕方のローカルニュース枠だと思います。

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by mt1500funagata | 2018-12-03 21:57 | 野生動物との出会い | Trackback | Comments(2)