2022年 03月 19日
大柄沢キリシタン洞窟探険
改めて情報を収集し、洞窟の写真と地形図を繰り返し見続けていると、次は行けるんじゃないか?と思うようになった。だったらすぐに行きましょう!ってことで、さっそく2回目の探索に行って来たという訳。
藩政時代には周辺で採れる砂鉄を原料に製鉄が盛んに行われるようになり、たたらも数カ所に作られました。当時の製鉄に欠かせなかったのは西洋から入ってきた技術と人材で、伊達藩内の大籠という地域では相当な規模で製鉄が行われていました。その製鉄技術と共に伝わったのがキリスト教で、大籠地域には数万人のキリシタンがいたと伝えられています。のちの幕府によるキリシタン弾圧で大籠地区では300人を超えるキリシタンが殺されましたが、人々は仏像に隠し十字架を刻んだり、観音様をキリストを抱く聖母マリアに見立て子安観音(マリア観音)としたり、隠れキリシタンとなって秘かにキリスト教を信仰し続けたのです。そして秘密のミサを行うために高城山の山中に洞窟を掘り、隠れキリシタンの礼拝所としました。
その隠れキリシタンの洞窟が、実は嘉太神にも存在するのです。
嘉太神地区で製鉄が行われていたのは、吉田潤之介による聞き取り調査で明らかになっていて、今も金屑沢とか鉄山沢という製鉄に関わる地名が残っています。製鉄技術と共にキリスト教が伝わり嘉太神地区に多くのキリシタンがいたと言うのは想像に難しくないでしょう。集落を流れる川を遡ると上流には4つの滝があります。その2番目の滝の脇に洞窟があり、そこが嘉太神隠れキリシタンの礼拝所だったのです。明らかに人の手によって掘られた奥行き約20mで最奥が直角に曲がり2mほどで突き当たります。今は土砂で埋まっていますが、そこに祭壇を設け礼拝を行っていたと考えられます。一つ目の滝を越えたところに不動明王を祀ったと思われる場所がありますが、そのお不動様の存在は隠れ洞窟に行く表向きの理由として好都合でした。或いは目くらましの偽装のためにお不動様を祀る場所を作ったのかも知れません。
洞窟の脇の滝は20mを越える大瀑布で、旧約聖書の創世記に登場する創造主全知全能の神(ヤハウェイ)を連想させる滝であったため、人々はその滝を万能神の滝と呼び、万能(マンノウ)滝という名称で現在に受け継がれているのです。