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七つ森 3段の岩座(クラ)山

3月30日土曜日の朝、七つ森に向った。

例年よりとっても春の訪れが早いようで、
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こんな花や
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こんな花が咲き始めていた。

いやいや、僕が七つ森に向ったのは花を愛でるのが第一の目的ではなかった。
七つ森が七つ森と呼ばれるずっと以前、古代岩クラ信仰の対象であった源流となる岩場を探すこと。「七薬師掛け」は有名で多くの人がやっているけれど、僕はそれに擬えて「七岩座(いわくら)掛け」が出来ないものかと考えている。

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七つ森の一つ、某倉山にある岩場。
これで五岩座掛けが出来たことになる。

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しばらく遊歩道を歩いて、途中から道を外す。

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急な斜面に早咲きの花を見つけた。

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一月に懸垂下降で下降中に右手に見えていた岩場を目指し、岩が累積した急斜な斜面を登る。急ではあるけれど体重を預けるには充分な岩を掻き分けて登るって感じなので、滑落とかの心配はほとんどぜずに済んだ。

急斜面を登り終えた僕は真正面に現れた垂直できれいに形が整った岩場を目にし、息を飲んだ。
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僕が古代人で自然崇拝のシャーマン的なものだったら、僕はこの岩の前で祈り儀式を行うだろうなあと思わせる場所だった。

幅20m高さ10mくらいか?
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この岩に触れた僕は、自然と五体投地をしていた。もっとも垂直な岩場であるから五体投地と言っても立ったままなんですけどね。五体投地って仏教で用いられるものだけれど、自然信仰のなかでも似たようなことはしていたのではないでしょうか。

もちろんこの岩は登れない訳で、左側を巻いて登っていったら、更に上段の岩場が現れた。
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こちらのほうが規模としては大きい。慎重に岩に近づき、全身で触れた。
この岩場を巻くにしても、ギリギリのスレッスレ。
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岩の上に溜まった腐葉土になる前くらいの不安定な地面を慎重にトラバースする。
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ズルっと滑って転んでしまったらひとたまりもないですね。
一人じゃなければ、絶対ロープ張って確保すべき場所。ザックには50mザイルも入っていたけれど、一人だったら大丈夫と踏んだ。もっとも、人を誘って来られるような場所じゃあない。

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上を見上げれば垂直の岩がそそり立っていた。

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実は僕は遂倉山から松倉山の6座の中のどれか一つが古代岩クラ信仰の御神体山だと思っていた。でも、今回この岩クラを見て、どれか一つではなく、それぞれが御神体山なんじゃないかと思うようになった。

この岩場を巻くって言っても、とっても急!巻くなんて生易しいものではなかった。
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手がかりになるような低木もない。岩は下部に比べるとかなり小さくて体重を預けることは出来ない。
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地表に張った根を掘り出して手がかりにして登る。

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やっと尾根らしいところにたどり着いた。この尾根の先端が先ほどの岩場のてっぺんあたりだろうと思う。

あとはこの尾根を辿って山頂へ、って思っていたら、、、
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3段目の岩場が姿を現わしたではないか。この岩場は横に広がっているようだ。
右寄りに岩場に近づいて岩場の全容が見えた時、鳥肌が立った。
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横長で垂直な岩に五つほどの洞穴があるではないか。
それほど奥まった穴ではないようで、僕はその洞穴の成り立ちに仮説を立てることは容易だった。でも、その仮説をここで述べることはやめときましょうね。
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持っていたカメラはポケットサイズのコンパクトカメラで、岩場の全容を伝えるには広角側の広さが全然足りない。もっとも写真じゃあ実際に見たままの感動を伝えることは出来ないだろう。

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この最後の岩場を巻く時に、僕の住む大和町吉岡の町並みが見えた。
僕の部屋の窓からは、この○倉山は見えないけれど、この岩クラに住まう目には見えない誰かはきっと僕のことを見ているのだろうなあって思う。
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最後の急斜面をまた根っこを頼りによじ登る。

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山頂付近のお花畑に緊張を解きほぐされて、
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山頂で待つ薬師様に後から近づいて行った。

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帰り道、たんがら森の麓の玉ケ池のほとりで、石粉粘土で作った自作のオカリナを吹いてみました。木製のように見えますが、杖を作った時の余り塗料を塗ったためです。
自作オカリナって焼き物っていうハードルが高くて躊躇していたところだったのですが、柔軟な思考で焼かないオカリナを思いつきました。
製作記事は追ってアップするつもりですので、皆さんもチャレンジしてみたらいかが?



吹いている曲は「竹田の子守唄」。この曲を選んだのには理由がある。
七つ森を岩クラ信仰の対象としていたであろう蝦夷(えみし)、この池に伝説が残る坂上田村麻呂をはじめとする東奥征伐、そして竹田の子守唄は僕の中では一本の線で繋がっている。
ここでは詳しく触れないでおこうと思っているので、興味のある方は上記のキーワード+「ふしゅう」でググって見てください。繋がりが見えてくるかも知れません。

あー!あとオカリナは吹き始めてまだ1年って事を考慮して贔屓目に聞いといてくださいね!


Commented by tabilogue2 at 2019-04-01 00:36
この問題を考える時に 大事な観点が幾つかあるわけですが、、、差別・被差別という問題です。タブー視され、この歌「竹田の子守唄」が放送禁止となったという過去・背景があります。

それはそれとして、、、幸いにして?東北には先祖・蝦夷の社会に差別問題があまり見受けられなかったわけですが 田村麻呂の東征軍が進行し西の文化圏が蝦夷の国に入り込んでくると、差別・被差別の「部落問題」も ここでいう「俘囚」を通して顕著になるわけです。
まあ、チバさんが言いたいことを何れの点に置くかによっても違うわけですが、「蝦夷の世に差別がなかった」ということを「意外な点」だなあ…と、関心を持ったことがありました。この論拠は赤坂憲雄先生の「東西/南北考」という岩波新書なんですけどね。2000年発行の本ですからね まだ読み切れていない本です 東北の民俗学では奥が深いんですよ。コレ。。。

会津学 遠野学 それから 霊界との接点である「巷」など 考えれば考えるほど奥の深い問題提起です。で 東征軍が恐れたのが「達谷の窟」たっこくのいわや、田村麻呂はその岩屋を封印したとまで言われています。その洞窟から今にも蝦夷たちが遅い来るのではないかと考えられたからだそうですが そう考えますと 強大な「二大勢力」が日本の東と西に国が別れていたということになり、日本は一つではなかったという証となります。
つまりは今の元号が変わるという話題の「天皇制」にしても根拠を失うことにも通じます。東に五十五国 西に六十六国、、、とまあ 奥が深いので此の辺で終わりますけど興味深い。我らが「お山と民族・文化」というテーマでもう8年ぐらい追いかけている話題でもありますw 
失礼いたしました。
Commented by mt1500funagata at 2019-04-01 20:59
> tabilogue2さん
軽めの曲で手作りオカリナ素敵でしょ?って終わらせても良かったのですが、敢えて記事を重くしてみました。古代岩クラ信仰を調べて行くと「アラハバキ」や「蝦夷」を知らずに語れなくなってしまいます。東征軍を戦う相手だとも思っていなかった純真な蝦夷が「俘囚」として連れ去られ、人の嫌がる仕事をさせられる集落を形成し・・・竹田の子守唄の舞台となる。
この岩クラを崇めていた人々の中に1000年以上に渡って悲しい運命を辿ることになる人がいたのかも知れないって思うと、岩場すごかったですよー!オカリナいいでしょー!で終われない気持ちが湧いてくる訳です。と、まあこれくらいにして・・・。

七つ森にこんなトコあったのすごいでしょー?手作りオカリナいいでしょー?
by mt1500funagata | 2019-03-31 22:42 | 七つ森界隈 | Trackback | Comments(2)