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スナック菓子とキツネ

今日の七つ森。
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何をするという事でもなく、いつものように山のほうに向かう。

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雪面に残されたタヌキの足跡をたどると・・・

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雪の中でじっと僕を見つめるタヌキがいた。
少しずつ近づいてもタヌキは逃げない、3mくらいまで近づいて写真を撮っても逃げなかった。

遠くから見ていた時から僕は気づいていたけれど、このタヌキは疥癬症に罹っていた。


ある方から本を送って頂いた。
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先週のブナの会の山行で餌付けキツネのことを話し合った方が、ぜひ読んでみたらいかが?と言って送ってくれた。
2006年に映画化された「子ぎつねヘレン」の原作者であり、北海道の獣医師、竹田津実さんが書かれたエッセイ集「タヌキは先生キツネは神様」という本。

表題の「スナック菓子とキツネ」という話が掲載されている。

ーーー「食べられる。だが食べ物ではない」もののためにキツネたちが死んでゆく。「無知なるやさしさ」は時として暴力となる。そのことを物言わぬ者たちが生命(いのち)をかけて告げようとしている・・・

という書き出しで始まるその一節は、観光客から与えられるスナック菓子を食べ続けたキタキツネが「疥癬症」で死んでゆくことを取り上げた一文だった。道端でキツネの姿を見つけるたびに観光バスはストップし乗客は喜んでキツネにスナック菓子を与える。獣医師の目から見たキツネはどのキツネも栄養不良で、とくに痛々しいのは、その年生まれの子ギツネであったと続く。

キタキツネを約40年に渡り調査観察を続けた獣医師の話しでありますから、少し長くなりますが一緒に読んでみてください。

===
子ギツネは成長期の一番大事な時に主食が旅人の与えるスナック菓子だとどうなるかを証明していた。やせこけ目瞼(まぶた)に目やにをため、瞳は輝きを失って誰の目にも脱水症状が読み取れた。下痢のためお尻の部分は汚れ、本来ならば赤褐色の一番美しい時であるべきその姿は、見るも無残な形相で人々に媚びを売り続けていたのである。親も同じであった。
ーーー(中略)ーーー
キツネたちの食べ物は、肉類である。だが時として少量の植物性のものも食べる。しかしあくまで「食べ物」は肉類なのだ。決してスナック菓子なんぞではないのである。
「食べられる。だが食べ物でない」物を食べたキツネたちが急速に栄養不良となっても不思議はない。
しかもスナック菓子類は甘い。その甘さが食欲は満足させるが結果は下痢となるのである。疥癬症の原因はヒゼンダニという寄生虫である。この虫は、ほとんどのキツネ、タヌキなどの毛皮獣には寄生しているのが普通である。
ダニは剥離した皮膚を食べて皮下組織へもぐり込み、トンネル状とする。しかし寄生主が元気であればそれはすぐに修復、治癒となる。ところが寄生主が栄養不足であれば修復は遅れその間にいろんな菌に感染する。その上に下痢が続いて免疫力が低下していれば致命傷となるのである。症状は全身に現れ。寄生主はかゆくてかゆくて眠ることも出来なくなる。一日中ポリポリとかく。それはやがて全身の脱毛を強制するのである。
そういった生き物がどうなるかはすぐに想像できるのである。氷点下20度を越す地で裸同然で放りなげ出された動物たちは確実に死の転帰をとるのである。
悲劇的なことは原因をつくった人間側も悪いことをしたと感じていないことである。
「ちゃんと餌をやったわよ!喜んで食べました。私たちはいいことをしたのです!」
と・・・無知なるやさしさのために死んでゆく動物はいっぱいあるのである。
ーーー(中略)---
「食べられる。だが食べ物でない。」この言葉の深い意味をキツネたちは身をもって問うている。
======

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雪が深く積もった山中の渓流沿いにはキツネの足跡が一筋残されていた。




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Commented by lilywhitesquirrel at 2019-01-27 09:35
是非読んでみようと思います。お知らせ有難うございました。
Commented by mt1500funagata at 2019-01-27 20:12
> lilywhitesquirrelさん
この本の初版は2001年でした。18年も前にキツネへのエサやり→疥癬症という問題を世に問うた人がいたのですね。18年間私たち人間は何を学習して来たのでしょう?エサやりは無くなるどころか全国的な問題へと拡大しています。このような本を読む野生動物に興味のある人だけでなく、一般的な知識として子供のうちから教育の一環として取り上げてもらえないものかと強く思っています。
Commented by lilywhitesquirrel at 2019-01-28 10:44
こんにちは!
今朝の朝日新聞ローカル欄に「名取市閖上にキツネが現れる」という記事が載りました。当然なのかもしれませんが人間主体で「エキノコックの感染が考えられるから触ったり餌やりは控えた方がいい」とかいう文章で締めくくられていました。がっかりしました。この記者は河北新聞を読んでないんだ。無知なるやさしさが ここにもあったんだ…と電話しようかどうしようか クレーマーになりそうな自分がいます。だって 放送してくれたのは「東日本放送」でした。系列新聞社なのに。どうなっているのでしょう。教育現場への期待がさらに膨らみますね。出来ることがどこかにあると 思っています。
Commented by mt1500funagata at 2019-01-28 21:58
> lilywhitesquirrelさん
ネットの朝日デジタルで記事を読みました。津波被災からの復興という目線での記事ですから、閖上地区の近くでキツネの生息は騒ぐほどのことではないのですが珍しいと持ち上げたのでしょう。エキノコックスはキタキツネの話しでありますが、餌やりなど接触をしないよう促すためのことだったのでは?と思います。最後の一文はあるのと無いのでは大違いで、ほのぼのとした話題として締めくくるのではなく、接触を避けるようにと最後に注意喚起したのは良かったのではないかと思いました。記事の内容から言って、生々しい餌やり被害(キツネにとって)まで言及するのは難しかったのではないでしょうか。

風早峠のキツネについては、これで終わりにしたくないと思っています。野生動物への餌やりはけないことだと一般的な知識として多くの人に持ってもらえるような活動を考えています。ブログを通して皆さんへもご協力を呼びかけるかもしれません。
Commented by m tsunaco at 2019-01-31 00:06 x
本の一節を紹介していただいてありがとうございます。
これを読んだだけでもあの子たちの姿を重ねずにはいられないですね。。
知らない事の怖さ、知る事の大切さ、伝える事の難しさと必要性をつくづく感じます。
私も是非読んでみようと思います。
何か自分に出来る事のヒントが見つかるといいなぁ、と思います(^_^)
Commented by mt1500funagata at 2019-01-31 20:38
> m tsunacoさん 
この本を送ってくださった方は、新聞で僕の活動を知り、この本のことを伝えたいと思っていたのだそうです。過ちは以前から繰り返されてきたのですね。
自分たちが知ること、そしてそれを人に伝えられるような活動をして行きたいと思っています。僕には責任があると思っています。キツネが醜くなった自分の姿を長い時間僕の前に晒し写真を撮らせたのは、僕を選び僕に見せたかったからだと思っています。一番嫌いな人間であったであろう僕にです。だから僕には物言わぬ者たちが生命をかけて告げようとしたことを伝えて行く責任があるのだ、と今思っています。
前コメにも書きましたが、ご協力を呼びかけることがあるかもしれません。その節にはどうぞ宜しく願いします。
Commented by m tsunaco at 2019-01-31 23:42 x
なんとそういう経緯だったんですか。チバさんの伝えたい事がその方にも伝わったからこそでしょうね。
確かに、あの子たちはチバさんが1番こわかったでしょうに、その姿をしっかりとチバさんに見せ続けてましたもんね。。。

私にも出来る事があれば是非一緒にやらせていただきたいです!お声かけくださいね!
Commented by 田澤 at 2019-02-02 13:51 x
千葉さん

こんにちは。
ご紹介の竹田津 実さんの2冊を購入して読みました。野生動物を通して変わりゆく人間社会の在り方にも警鐘を鳴らすような内容でしたね。
良い影響を受ける事が出来ました。ありがとうございます。

田澤
Commented by mt1500funagata at 2019-02-02 21:31
> 田澤さん
さっそく購入までして読んだのですね。物言わぬ動物たちの気持ちを推し量ること、それは相手の気持ちを想像することなのだろうな?と思います。自然と接し、自分たちの暮らしを振り返るように、動物の気持ちを想像して自分たち人間同士のコミュニケーションを振り返る。そんなことを考えさせる本のように思いました。
紹介した甲斐があったというものです。逆に田澤さんコメントありがとうございました。
by mt1500funagata | 2019-01-26 22:39 | 野生動物との出会い | Trackback | Comments(9)