トレイルカメラの動画を分析してみた

船形山の麓、集団移転により人が住まなくなった大和町嘉太神地区。
この場所に、7月1日から30日までトレイルカメラを設置しておよそ1ヶ月。
無人自動カメラは、合計117カットに及ぶツキノワグマの動画を記録した。
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1ヶ月以上に渡り、そして今も設置し続けている理由は、最初の頃に写った片腕と思われるクマがまた現れてその姿をはっきり示してもらいたいという思いだった。けれど、せっかく多くのクマの動画が撮れたことだし、この際もう少し嘉太神のクマのことを知ってみたいと思い、動画の分析をしてみた。

まず記録された時間を元に、日にちと時間ごとにグラフ化してみた。
大雑把に個体ごとに色分けをしてみると面白い結果になった。

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面白いのは9日20時台と16日0時台。短時間のなかで複数のクマが同じところを同じような動きで移動している。この時間以外にも1分と置かずに別なクマが写った連続カットがあったけれど、その2頭はどちらも同じクマだった。太目のクマが歩いた1~2分後に細めのクマが歩く。その2頭には何か関係性があるのだろうか?交尾相手としてメスの後をオスが追いかけている?親離れしたばかりの子グマが母親を追いかけている?分らない。ほかの動画から先に歩いている太目のクマは、どうもオスではないかと思う。分らない。


次に全記録を時間分けしてみた。
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このグラフだけを捉えると、やっぱりツキノワグマは夜行性なんだって思ってしまうけれど、この結果に騙されてはいけないと僕は思っている。
このトレイルカメラを設置した場所は、ある生産施設のすぐ近くで日中はトラックも出入りし、そこに働く人もいる。このグラフの表すところは、その生産施設から出る廃棄物がエサとなり、そのエサを求めて周辺のクマが夜の間に集まってくるという結果だと考えている。

つまり、このグラフはクマがその生産施設にはエサがあり、人がいなくなる夜間には容易にエサを得ることが出来るとクマが「学習した結果」を表しているのではないかと考えるのである。
(特に暑い期間だったから日中動くのがイヤだっただけかも知れませんけどね)

もちろん、こうして多くのクマが1ヶ所に集まってくる訳だから、この周辺のツキノワグマの生息密度が著しく高いというのは言うまでもない。


あと余談的なことだけれど、嘉太神地区にイノシシは多く生息していてカメラの設置場所の百数十メートル手前までイノシシの痕跡がとても多くあるのだけれど、カメラにイノシシが写ったのは1ヶ月間でたった1回(1匹)だけ。このクマの道をイノシシは避けているとしか思えない。

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動画を繰り返し見て、静止画を切り出し並べ見比べてみた結果、僕としては子グマ2頭を含む13頭と言う結論に至った。もちろん僕の感覚的なことが大きく影響しているので正確とは限らない。言葉を正しく使うならば、10頭前後のツキノワグマが記録されたということだろう。(上のグラフの色分けはかなり大雑把な個体識別)

①一番多く記録されていた、体型が引き締まった(痩せている)個体。
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②次に多く記録されていた太目の大型。
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③2~3才と思われる若メス。
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④逞しい体つきの青年と思われるオス?
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⑤やや大型の太っちょ(お尻に脱毛部分がある)
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⑥腹が垂れ下がったメタボの極太。
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⑦小さいチ○コの若オス。
 
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⑧イケメン中型。
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⑨乳首の垂れた出産経験のあるメス。
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⑩片腕?
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⑪⑫⑬母グマと子グマ2頭
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以上13頭????

切り出した静止画をWebアルバムにアップしました。100枚以上ありますから興味のある方は個体識別にチャレンジして結果をお知らせ下さい。

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最後にトレイルカメラの動画です。クマたちもカメラに慣れてきたのか?僕に気を遣うようになったのか?カメラに興味を示したカットだけ編集してみました。
(2分06秒)

スマホの方はYouTube直リンクのほうが見やすいと思います。
https://youtu.be/2mDAxRXnlSc



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Commented by utinopetika2 at 2018-08-04 21:20
貴重な資料になりますね。
それにしても個体が多すぎてコワイです。
Commented by toto4543 at 2018-08-04 22:53
大とか、親子と書かれた文字にまぎれて「オレ」という文字が微妙に笑えます(笑)
それにしても結構いるもんですね。それに個体差も思ったより大きい。イノシシが避けているというのも面白い。
周辺の何か所かにカメラを仕掛ける事が出来たら、それぞれの動物の動きが見えるでしょうね。
とにかく貴重な資料ですよ、これは。
Commented by m tsunaco at 2018-08-05 01:23 x
待ってました(๑˃̵ᴗ˂̵)!面白いですね〜!特に時間帯のグラフの形がこの場所ならではって感じがしますね。人の気配がする時間とクマ達の目的がハッキリしてる分、やっぱり他の場所よりクマ達の行動パターンもハッキリしてるのかもしれないですね。クマたちを見ていて普段から漠然と思ってたんですが、クマ達は人の活動パターンをこちらが思っている以上に把握してうまく受け流して暮らしているんじゃないでしょうかね。「ひとがいる時間はどこかに潜んでいて人が居なくなってから活動する」というよりは、クマは時間帯関係なく活動しているものの「人のいる時間帯の過ごし方」と「人が居なくなってからの過ごし方」を上手く使い分けているように感じます。だからこのグラフの空白帯がまた興味深いですねー(๑˃̵ᴗ˂̵)どうやって過ごしてるのか、妄想が止まりません(^-^)笑 個体識別、楽しみながらじっくりやらせていただきます!
Commented by mt1500funagata at 2018-08-05 06:18
> utinopetika2さん
この辺りにクマが多いのは分かっていましたが、これほど多いとは思っていませんでした。何を採りに行くのか?一人でここを歩く人も2カットありましたが、知らないからこそ出来ることですよねえ。クマスプレーも持たずにここを一人で歩くなんて、もう出来ません!!
Commented by mt1500funagata at 2018-08-05 06:25
> toto4543さん
もうしばらく設置を続けたいと思っていますが、(片腕が撮れるまで)年間を通してとか、カメラを複数設置するとかすれば、もっと面白いことが分かるのでは?と思います。
Commented by mt1500funagata at 2018-08-05 06:39
> m tsunacoさん
時間帯のグラフは予想通りでしたが、僕はツキノワグマは夜行性ではなく全日性だと思っているので本文中の考えに至った訳です。この場所の特殊性を知っている人なら分かって貰えると思います。
人とクマの関わり合い方を考えた時、クマのほうがよほど人に気を遣ってるんじゃないかと思います。
カメラの設置角度を少し変えました。下から見たほうが個体識別が楽なように思いました。次回公開を待っていてくださいね!
Commented by くまぷー at 2018-08-06 09:10 x
おはようございます。

夜に光で興味を示すのは想像できるのですが、日中でもカメラの近くにくるのはなぜなのでしょう。

匂い?チバさんの?(笑)

それともなにかが点滅してるのかな?
Commented by mt1500funagata at 2018-08-06 18:57
> くまぷーさん
赤外線が反応すると赤いグローランプが点灯します。自動ドアとかのセンサー部分の小さいランプみたいなものと言えば分りやすいかな?多分そこに反応していると思うのですが、日を追うにつれカメラによってくるクマが増えているのは、匂いかも知れませんね。
僕に挨拶しに来ているのかも知れませんけど・・・
Commented by repertum at 2018-08-06 19:50 x
なんという熊の王国。しかもがっしりして強そうな個体が何頭も映っていますね。これを見ると丸腰で山に入れなくなります。こんな熊でも人間を避けるようですが、寝ている人間も避けてくれるんでしょうか。ビバークしようとする身には気になります。
Commented by mt1500funagata at 2018-08-06 21:23
> repertumさん
ここのクマの多さは特別だと思っています。ビバーグするような山中では生息密度はずっと低いと思いますが、ビバーグ中に襲われた事例ってあるのでしょうかね?
僕もテントの脇10mくらいのところをクマが歩いた足跡を朝に見つけたことがありますが、テントにいた4人誰もクマの存在には気づきませんでした。
Commented by toshiji at 2018-08-08 13:41 x
文さん スゲー。データ分析しちゃったんですね!!なるほど、興味深い考察ですね。最近、他県のニュースでもヒグマ(?)出没がかなり報道されていますね。今までちゃんと共存できていたのにお互いが領空侵犯してしまった結果なのでしょうか?それにしても毎度普段の私では見れない、知りえないものを発信して頂き、楽しませて頂いております。またTVに出てくださいww
Commented by mt1500funagata at 2018-08-08 20:06
> toshijiさん
野生動物を始めとする自然界との共存が出来難くなった原因の一つに、人が自然を崇めるという気持ちが薄くなってきたということもあるのではないか?と思っています。身近な森に確実に生息するツキノワグマの圧倒的な存在感を目の当たりにすれば、その気持ちが少しは分るの
ではないでしょうか?ただ恐ろしがるだけでなく、正しく知って正しく向き合うことが肝心だと思い僕はブログで発信している訳です。現代においては闇雲に保護を訴えるばかりでなく、野生動物の個体数調整も人間の責任じゃあないかとも思っています。
ヒグマがいるのは日本では北海道だけですヨ!
by mt1500funagata | 2018-08-03 23:12 | 野生動物との出会い | Trackback | Comments(12)