森は危ないから行っちゃダメよ!だって

某テレビ局からツキノワグマに関する取材の依頼が来た。
クマとバッタリ遭遇しないために、僕のやってる対策とかクマの習性とかを取材したいとの内容だった。
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でも、前日の夜(昨夜)に急遽取り止めになった。
理由は、クマの居るようなところには近づかないように呼び掛けるマスコミが、クマのいるところに取材に行くのはケシカラン!ってエライ人に言われたらしい。

僕は一瞬、耳を疑った。ツキノワグマは何処にでもいるのに・・・。
泉ヶ岳にも桑沼にも七つ森にも鈴沼なんていっぱいいる。ちょっと山間の民家の庭にだって栗や柿を喰いに来る。初夏や紅葉の桑沼や鈴沼なんてテレビで映せなくなるのか?

スタッフの方は、正しくツキノワグマの事を伝えたいという強い気持ちでいたのですよ。正しく乗り方を教えもしないで、自転車は危ないから乗っちゃイケマセン!って、わからず屋のママみたい。
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まあ、取材がなくなったってのは僕にとっては別に構わないのだけれど、日曜日のブナの会の観察会の時にも前宣伝しちゃったからねえ。今度の火曜日の朝にロケして水曜日に流れるって。録画をセットした人もいるだろうし都合をつけてテレビの前で待っている人もいるかも知れない。
だから、こうしてブログ上でお伝えする訳だけれど、すべての人がブログを見ている訳ではないからねえ。

すみませんねえ~。中止になっちゃいましたよ。

ツキノワグマと無駄な遭遇をしないよう、スタッフの方は一生懸命に取り組んで来たのだけれど、自然や野生動物のことを全く知らないエライ人の鶴の一声で決まったらしい。

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取材が入ろうが無かろうが、僕はいつも通りに早朝の嘉太神の森へ足を運んだ。
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コナラの幹にはツキノワグマの爪痕。

僕は森に入る際にラジオや熊鈴は持たない。微かな足音や気配を感じられなくなるから。時々ホイッスルを鳴らしたり「ホーイ!ホッホー!」って叫んだりしている。
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樹上には昨年ドングリを喰った熊棚。

ツキノワグマの足音や気配も様々。
普通にガサッガサッって人と同じような足音の場合もあれば、細い小枝が小さくパキッと折れる僅かな音だったり。フッフッー、ブルブルッって息を荒げて歩き回ってるクマもいる。

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勢いづいてきた木の葉に隠れて、熊棚も分かりにくくなってきた。

最近は熊撃退スプレーが必須携行品。クマのことを知れば知るほど、これは離せなくなる。

路肩に停めたジムニーのすぐ近くの木にも爪痕がある。
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この爪痕は多分、子グマのものではないだろうか?

母グマが食餌や休んでいる間に、子グマが近くの木に駆け登って遊び回る光景を何度か見たことがある。
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車が通る道路の近くだから、クマと遇わないなんて思っていたら大間違い。道路は動物たちの行動圏を遮断するものではない。

車が近づいても、藪にひょいと身を隠し、やり過ごすクマを何度も見たことがある。

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僕は、クマのことを「正しく知って正しく怖がる」事が大切だと思っているのだけれど、道路っ端で「クマが居るような奥まで入らないから大丈夫」と言いながらフキ採りしてる人や、嘉大神とか特別な地域にしかクマがいないと思っているテレビ局のエライ人は、正しく知っていない。

クマは山沿いの森や林だったら何処にでもいる。
これがクマを正しく知る第一歩。

七ツ森とか桑沼とか山沿いの遊歩道や登山道、山菜採りやキノコ採りに行くような場所にはツキノワグマは居るってことを前提に行動することが大切だと思う。
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これからの季節、ウワミズザクラの実なりが終わるころまでの間は、親離れ前の二年子が訓練のために積極的に襲ってくる場合も多くなるので、より一層の注意が必要になってくる。

以上、色々と書いてきたけれど、まだまだ書き足りない部分も多い。コメント入れて貰えれば、僕の出来る範囲でお答えしたいと思っています。

まあ、ほとんどの場合はクマにこちらの存在を先に知らせてやれば、特別な個体やよっぽど運が悪くない限り襲われることはないだろうから、闇雲に恐れる必要はないと思っています。

クマの唸り声よりも、ニンゲンシャカイでは鶴の一声のほうが怖いかもね?

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Commented by くまぷー at 2018-05-16 09:11 x
おはようございます。

質問ではないのですが、熊スプレーについての考察というか有効性というかを、熊達人のチバさんからみて、1つ記事にして頂けると大変参考になるのですが。

以前、いろいろ熊の事故事例をしらべても、やられるときは数秒のできごとばかりであったり、襲われた後はもう出す暇なんかない、とか。あとは重さ、金額などいろいろ鑑みて、やーめた、となってしまったのです。

そのあたりも含めましてどのように考えて携行しているのかなあというところがお聞きしたいところです。

桜井先生に以前聞いた所、あれは有効、といってましたね。なぜなら、襲ってくる時は、一度やつは立ち上がって体を大きく見せるから、その隙に使えるはずだと言っておられました。


今朝、一郡平で威嚇されました(笑)
Commented by mt1500funagata at 2018-05-16 18:00
> くまぷーさん
熊撃退スプレーは、実際に使用したら記事にします。(多分一生ないと思いますが) 効用は実際に使用経験のあるツキノワグマ研究所の米田さんが最強の武器と著書の中でも言っているので効果は高いのでしょう。
実際に襲われそうになった際にスプレーを噴射出来るかは、その時の状況次第でしょうね。時間的余裕、風向き、焦り等々。ばったり出会った時に冷静に対応出来るかはわからないですね。
山岳写真家のH川さんが襲われた時は、20m位先から走って向かってきたと言いますから、同様な場面だったら対処可能でしょう。
僕らは冬眠穴を探して歩いた時は、スプレーのストッパーを外しトリガーに指をかけて歩きました。まあ、これは一般的ではないですが、安心感が相当違うので落ち着いて行動することが出来る訳です。

スプレーは、あくまでも対策のひとつで、一番大切なのは自分の存在をクマに知らせることだと思っています。気配を感じたらスプレーをケースから抜いて気持ちと体勢を整える。

スプレーが万全ではないですが、金で買える安全は買っておいたほうが良いと思っています。

<<蛇足>>
一群平ですが、正しくは「ひとむら平」と読みます。「いちぐん」や「ひとむれ」ではありません。古い記録には「人村平」との記述もあります。あて字、誤記の可能性もありますが、いずれ読みは「ひとむら」です。
Commented by repertum at 2018-05-16 21:04 x
今では青葉山の東北大キャンパス周辺でさえ(何を餌にしているのやら)熊の糞や足跡は珍しくないし、仙台市から注意喚起されるのは毎年のこと。30年ほど前は考えられなかったことです。こんなに動物がヒトの生活圏に侵入するようになったのは、 動物たちがヒトの生活圏を上手く利用する術を覚えてしまった面もないでしょうか。

私は仕事で某特定動物を日常的に扱いますが、彼らは我々の想像以上に強かです。飼育下の動物でさえ一方的に支配されるだけではなく、ヒトの隙があれば利用します(新人だと動物に"調教"されることも)。またNHKの番組では、福島の避難区域を我が物顔にのし歩く猪、サル、アライグマなどが紹介されていました。動物達は無人の家に押し入って雨や雪を凌ぎ、放棄された畑や果樹園を餌場にし、そして驚いたことに人が近づいても逃げないのです。人間との緊張関係がなくなると、動物は人間や人工物に対する警戒さえ簡単に上書きしてしまうようですね。

所で、遭難者の遺体が熊やタヌキに食害されるケースは珍しくないそうです。つまり人肉は食べられると学習した熊は一定割合でいる筈。熊の活動期に山に入る時には、その事を念頭に置くようにしています。
Commented by mt1500funagata at 2018-05-16 23:25
> repertumさん
宮城県でも昨年、県内のツキノワグマ推定生息頭数の上方修正がありましたが、単にクマの数が増えていると云うことではないかと思っています。以前の記事のコメント欄に書きましたが、人口が増えてクマの生息域である山林を開発し住宅地を広げて行ったのと同じことがクマの社会の中でも起こっているのではないでしょうか?若い世代が郊外に住まいを求めるのと同様に、若いクマは住宅地の近くに住まざるを得ないと云う訳です。報道される住宅地に現れるクマは、ニュース映像で見る限り、2~3才の小型のクマのように思います。

今日、僕が出るはずだったクマの話題のコーナーで大学のセンセイが、昨年ブナの実が大凶作で今年の花芽が少ないので、エサが不足して里に出てくるクマが増えるのを危惧する、みたいなこと言っていましたが、僕は???でした。ブナの花芽やブナの実が凶作だろうと山でクマがエサ不足になることはないと最近思うようになってきました。ブナがなければナナカマドの実も喰うし、カラスザンショウの実だって喰ってしまう。山沿いの果樹園や養鶏場とかだったら別ですが、住宅地に餌を探しに来るなんて、クマにとっては必要ないほど山は豊かです。捕獲されたクマが痩せていたってこともないです。

人間目線で見るから自然の物と人工物を区別して考えがちですが、彼らにとって雨風がしのげる場所は、洞穴であっても廃屋であっても利用しやすいものを利用しているだけなのでしょう。喰える果実があれば、どういう経緯で果実が実ったかは彼らには関係ないのですね。
遭難者の遺体にしても同じで、昨年カモシカの死肉を喰うクマやタヌキ、キツネ、テンの動画をアップしていますが、人間だろうがカモシカだろうが死肉に変わりはないのだろうと思います。
Commented by kumapu at 2018-05-17 14:28 x
ご解説ありがとうございました!

一郡平は「ひとむら」だったのですね。「いちぐん」と呼んでおりました。ありがとうございます!

ところでいまだにまともな熊の写真を撮れたことがありません。車窓からとか、お尻とか、亡骸とか・・・。

殆どの場合、カメラを構えるすきもなく、あっというまに藪の中に入っていきますね。

出会い頭で見かけた動物を撮って残すには、頭に付けるアクションカメラみたいのも悪くないのですかねえ。
Commented by mt1500funagata at 2018-05-17 20:43
> kumapuさん
出会いがしらの撮影は難しいですね。よっぽど条件が良い時でないと・・・。
クマの写真は、空振り覚悟で狙いに行かないとなかなか撮れません。古川のご夫婦で、良いクマの動画を撮っている方がいますが、毎週のように升沢の県道をパトロールしているようです。
YouTubeで「ツキノワグマ m tsunaco」で検索すると出てきます。
Commented by くまぷー at 2018-05-20 00:42 x
熊スプレーネタ引きずりますが、先生みたいな感覚もしっくり来る面もあります。理屈ではおかしいんですが、持つことで怖く感じてしまう自分もいたりして。これは感覚なのでアタマでどうすることもできず。

まあ今度また会う機会がありましたらお話を聞かせてください。
Commented by mt1500funagata at 2018-05-20 06:53
> くまぷーさん
ブログ読みました。正直なところ、僕はこうしてクマネタでブログ書いたりTVの取材を受けたりしているので、万が一襲われてケガでもした際にスプレー持っていなかったのか?っていう批判に対するリスクヘッジでもある訳です。普段の山歩きの時は持ちません。
嘉太神は、あの狭いエリアに個体識別できるクマだけで7頭いて、しかも、そんな場所でクマの道を辿ったりしている訳で、襲ってきたら痛い目にあうぞ!くらいの気持ちを持っていないと歩けたものではありません。
まあ、会った時には詳しく話しましょう。

追伸:桜井さんは、トクベツな方です!(笑)
Commented by くまぷー at 2018-05-22 09:16 x
承知しました!たびたびのご返信ありがとうございます。

あと30年通ったとしても、『俺だからー!』は頭の中にすらでてこないですね・・。
by mt1500funagata | 2018-05-15 13:02 | Trackback | Comments(9)