序列上位のツキノワグマ

昨日出会った片腕のツキノワグマは今日も同じ場所にいるだろうか?
夕方の遅い時間になってしまったけれど、気になってしょうがない僕は昨日と同じ船形山の麓、嘉太神地区へと車を走らせた。
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薄暗くなりかけた嘉太神の奥にある養魚場。
奥の草むらの前にうずくまるツキノワグマに気づくまで少し時間がかかった。
あー今日も来ている。
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ツキノワグマの姿を見つけた時、日本ツキノワグマ研究所の米田所長から聞いたツキノワグマの悲しい習性のことを思い出していた。

ツキノワグマは楽に食餌できることを知ると、そのエサがなくなるか自分が殺されるまでそのエサを喰い続けるというのだ。自然のエサだったら季節や食い尽くすことによってそのエサはなくなるのでツキノワグマは来なくなる。でも例えば養蜂場とか養豚場のブタの飼料だったら食い尽くすということはない。毎日のようにやってくる・・・殺されるまで。

ここへやって来るツキノワグマも同じ運命を辿るのだろうか?
かなしい習性というかニンゲンが絡むとニンゲン側にとっては被害となってしまう。動物側からすれば逆なんだけど・・・。

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そんなことを思いながらツキノワグマを眺めていた僕の前をタヌキがすっとぼけた顔で僕を横目に見ながら横切って行った。ほんの数メートル先。
見られていても無視してサカナ捕ってるツキノワグマや堂々と目の前を横切るタヌキたち。僕のニンゲンとしての立場を彼らは考えていないようだ。

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薄暗く昨日より遠目に見ていたので気づくのに遅れたけれど、どうも昨日の片腕のツキノワグマではないようだ。別の個体だ。
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昨日の彼とは体格が全然違う。丸々と太ったデッカイ奴だ。
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カメラのオートフォーカスも効かないほど夕闇が迫ってきたころ奴は生簀へと動き出した。ISO感度を上げピントも手動、シャッター速度も手持ちギリギリで撮っているのでどうにか写っているけれど、肉眼では黒い影が動いているようにしか見えない。

前足で昨日の片腕とは違うことが確定した。
同じエリアを行動圏とする序列上位のツキノワグマなのだろう。
ツキノワグマはナワバリを持たない。食い物さえあればすぐ近くに別のクマがいたとして排除行動はしないのだそうだ。
でも序列はあるらしい。上位のクマがエサ場から離れるまで、あるいは身体をこすりつけるのが好きなマツの木から上位のクマが離れるまで、下位のクマはじっと離れて待っている。
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昨日の片腕は周辺の草むらに身を潜めこの大きなツキノワグマが立ち去るのをじっと待っているのかもしれない。
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ほぼ同じ場所にいた昨日の片腕。
僕はある想像をした。この左手は子どものころ大きな雄グマに食いちぎられたのではないだろうか?と。
詳しい説明は省略するけれど、子グマにとって天敵は発情期の雄グマなのだ。
今まで読み聞き知ったツキノワグマの生態や習性の様々なことが頭の中を駆け巡る。
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生簀に手を入れるツキノワグマが夕闇と同化するほどになる頃まで、僕はこのツキノワグマを見続けていた。


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by mt1500funagata | 2016-09-04 23:45 | 野生動物との出会い | Trackback | Comments(0)