船形山、色麻コース登山口である大滝キャンプ場の水場が、船形山の霊水「人命水」であることは皆さんご存知の通りでありますが、、、、

その「人命水」の源流にある雨の日だけ現れる「幻の滝」の存在を知る人は少ない。
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船形山の一般的な登山ルートである色麻コースを登り、ある場所から登山道を外れ、涸れ沢を遡ると、そこは「人命水」と「鈴沼」の源流に当たる。
この沢は、晴れた日には水が流れない。この幻の滝の少し上流にある「水琴の滝」の岩盤を流れ落ちる際の、ほんの数メートルだけしか水は姿を現さない。
雨の日だけに現れる、この「幻の滝」の水も登山道近くになると伏流水となって地中へ姿を隠し、人の目に触れることはない。

そんな訳で、今日のような秋雨の日は「幻の滝」を見に行くのには絶好のチャンスとなる。
晴れていれば滝は現れないし、かといって大雨や長雨の時は信じられないくらいの水量で、滝の見物どころの話じゃあない。死ぬかもしれない。

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ブナ林の黄葉は雨の日のほうが美しい。
「雨も天気のうち」いつも言ってる言葉だけれど、この言葉は僕がまだ小僧だったころ、筋金入りのヤマ屋であるブナの会のオヤブンから教えられたもの。それ以来僕も天気のことはあまり気にならなくなって雨なら雨を楽しめるようになった。

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雨の日だからこそブナ林がこんなに美しく映える。

色麻コースの眺望所っていう場所を過ぎ、5分も歩けば涸れ沢を横切る場所がある。
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この涸れ沢の地下を流れる伏流水こそが、「人命水」の源流であり「鈴沼」の源流でもある。(と考察される)

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登山道を外し、涸れ沢を遡る。水の気配はない。

さらに遡ると
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三段滝の形状の岩の下に、昨日の雨でこの沢に水が流れた名残を見ることが出来た。

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ブナの葉が同じ方向に向かって渦を巻くように揃って堆積している。
雨脚が強かった昨夜から未明にかけては、三段滝から流れ落ちた水が渦を巻いて、写真左手の窪地状のところから地中に吸い込まれていったってこと。想像は容易だった。
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木の枝に絡みついた木の葉。高さは僕の肩くらい。という事は、大水の時ここの涸れ沢には水深2m近い激流が流れるってことでしょ?冒頭に書いたように、そんな時にここへ来たら死ぬかもしれない。

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岩を飾る水滴なんかを眺めていたら、上のほうから水の流れる音が聞こえてきた。

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昨日の雨の影響だろう、以前訪れた時よりもずっと下流域で沢の水は現れた。
この分だと、幻の滝の水量も見ごたえのあるものになっているかも知れない。

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想定していた以上に水量は多く、予想通りに雨の日だけに現れる「幻の滝」はその姿を僕の前にあらわした。

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何のことはない良く見かけるような普通の滝じゃない?って言うのは、次の写真を見てから言ってくれ。

晴れた日と、今日のような雨の日との同じ場所の比較写真。↓↓↓
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2年前は、この涸れ滝を登り「水琴の滝」の前に立ったけれど今日は行けない。今日の装備でこの滝を越えることは出来ない。
今日は、ここまでで十分。

一昨年に初めてここへ来た時、雨が降ればここは滝になるのだろうな?って思った。
それ以来、いつか雨の日に来てみたいと思っていた。

誰かが整備してくれた登山道じゃないところを歩き、何の情報もない場所の目を見張るばかりの景観を自分の経験と予測で探し出す。

今日の僕は「登山客」ではなかったと自負している。


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注)水琴の滝、幻の滝ともに公式な滝名はありません(わからない)。僕が勝手につけた滝名です。幻の滝が次回は別な名前になっているかも知れません。
注2)現地へ行くのに迷うことはありません。でも行程や難易度、必要装備などは敢えて記載しませんでした。詳しく書きすぎると登山客としての山歩きから一歩前進しようとしている人にとっては面白くなくなるのでは?と僕自身が思っているからです。

===関連記事:↓↓↓===
 



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by mt1500funagata | 2017-10-21 22:26 | 船形山界隈 | Trackback | Comments(2)

こだわりの手作り杖

杖を作った。
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僕は今まで杖を何本も作ったし実際に山で使ったりしているけれど、今回の杖は少々こだわって作ってみた。

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テレビはほとんど観ない僕だけれど、NHKBSで火曜日の夜放送の「イッピン」って番組は時々楽しみに観ている。何が楽しみなのかというと、この番組は日本の伝統工芸に現代のセンスを取り入れた職人技術を紹介する番組で、その職人技を自分の手作り品に取り入れられないか?って思いながら観ているのである。

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天然木を使った工芸品の時なんかは、木の削り方や磨き方、塗装の仕方とか色々と参考にさせてもらっている。

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毎朝、紙やすりの番数を上げて行きながら何回もやすり掛けし、朝に塗装して帰宅後に乾いた塗装面を布でこすって磨く。塗装しては磨くを何回も繰り返せば、渋い感じの艶が出てくる。

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紐を通す穴にもこだわってみた。

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ストラップの紐も、真田紐を取り寄せた。
「山文」の焼き印は、南部藩御用達の商家だったチバ家先祖伝来の焼き印。

使ってナンボの杖だけれど、使うの勿体無いなあ。


削って磨いて塗装して・・・って工程は丁寧に時間さえ掛ければ何とかなるものですが、一番大変なのは今回のような傷がついたまま成長して、イイ感じの模様になっている材料となる木を見つけること。
しかも、生えている木を切ってくることは出来ない。

僕は動物観察のパトロールと称して、早朝の林道を走るのは日課のようなもの。
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林道整備で伐採された雑木の中から探してくる。

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今朝は、蔦がしっかり絡みついた、こんな木を見つけて来た。
これをどんなふうに仕上げていくか?このイメージ作りの過程もとても楽しい時間なんだなあ。

杖、いいでしょ!


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by mt1500funagata | 2017-10-14 22:28 | 手作りの逸品? | Trackback | Comments(4)

特別展「熊と狼」-人と獣の交渉誌ー
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11月19日まで、多賀城市の東北歴史博物館で開催中。
午前9時30分~午後5時

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熊と狼、ともに山に住まう猛獣だけれど、熊は生き残り狼は絶滅した。
なぜ熊と狼は違う道を歩むことになったのか?
人と熊や狼との関わりの歴史、そんなことを良く知ることが出来る内容だった。

展示の内容は詳しく書かないけれど、僕は見に行って良かったと思っている。
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28日(土)には日本ツキノワグマ研究所理事長の米田さんの講演もある。
昨年の人食被害の発生した十和利山事件の全容についてらしいのだが、僕は残念ながら行くことが出来ない。
まあ、僕は去年のうちに米田さんから直接この件の話を聞いているので、内容は何となくわかる。
クマがいるのに人はタケノコ採りに何故入るのか?被害に遭った人の家族の気持ちは?まさに、ここのところ僕が記事にしている人とクマとの境界線上にいる人のことについての話があると思う。

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先週は薪の荷揚げとし尿降ろしで、お返し登山をしていたので、この連休は観光登山に行って来た。
たまには船形山界隈から離れるのもいい。

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中津川渓谷はそろそろ彩りはじめ。

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裏磐梯の銅沼(あかぬま)
ブラタモリでタモリさんが、えらく感激していた風景を見たいと思っていた。
景観は美しさと圧倒的な自然の力の迫力が同居していて息を飲むほどだったけれど、この沼には生き物が生息出来ないらしい。どうりで畔の森から鳥の声が聞こえなかった訳だ。


今回の観光の目的は銅沼だったけれど、ついでに磐梯山も登って来た。
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普段見慣れない白樺の黄葉の森を歩き、荒涼とした稜線を歩いてきた。
噴煙を上げる山肌を見て、この山は生きているんだなあって実感した。
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今は破線ルートになっている裏磐梯コースだけれど、急な場所には鉄の手すりが設置されていて、相当ありがたかった。
登山客として登る山で山を整備してくれる人々がいるのだってことを改めて思う。

誰かが整備してくれた登山道を歩く僕は、登山者ではなく、ヤマ屋でもなく「登山客」の一人だった。


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by mt1500funagata | 2017-10-10 08:30 | Trackback | Comments(4)

川渡るツキノワグマ

早朝、森へと向かった。

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森でツキノワグマに出会うことが出来るだろうか?
罠に掛かったクマではなく、自然の中で木に登りドングリを喰ってるクマが見たいと思った。

木に登っているクマを見つけることは出来なかったけれど、
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川を渡っているクマを見つけた。

朝の森は肌寒さを感じ、川の水もかなり冷たくなっているはず。でも、彼は素足のままで川を渡る。

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こうして川を渡るクマと出会えるって、なんて幸運なことなのだろうと思う。
僕が川に差し掛かる、クマが川を渡る、このタイミングが数分どころか数十秒違っただけで僕らは出会うことが出来ない。ジムニーのアイドリングの時間が1分短かったら、途中の自動販売機で缶コーヒーを買わなかったら、僕らの出会いはなかった。

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先回りして、川から上がって来るであろうクマの道の近くでしばらくの間待っていたけれど、クマは現れなかった。でも、この藪の中に確実にツキノワグマはいる。
箱罠に閉じ込められたクマではない。僕の様子を伺いながら藪の中でじっとしているのも、僕を気にせず藪から出てくるのもクマの自由。

今朝、自由に歩き回れるツキノワグマを見ることが出来て、僕の気持ちに少し薄日が差しこんだ。

先週母子グマが入った箱罠はすでに撤去され、種の保存法の絡みで今年はもう仕掛けられることはない。
あの母子グマは自分たちの身を挺してほかのクマの命を救ったとも言える。

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母子グマは命を捨ててほかのクマを救ったけれど、クマが暮らす棲み処の森を奪うニンゲンの営みは終わらない。


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by mt1500funagata | 2017-10-05 07:42 | 野生動物との出会い | Trackback | Comments(0)

早朝、森へと向かった。

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こうして、しょっちゅう早朝の森をうろついていると季節の移り変わりが身近に感じられる。
毎朝7時に起きる人には気づかないかもしれないけれど、毎朝4時に起きる僕は日の出の時間が日に日に遅くなっているのを直に感じている。

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森でツキノワグマに出会うことが出来るだろうか?
罠に掛かったクマではなく、自然の中で木に登りドングリを喰ってるクマが見たいと思った。

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この森には確実にツキノワグマは棲んでいる。
でも、今日はどこに居るのやら気配すら感じることは出来なかった。

あの箱罠に入ってしまった母子グマは当日中に殺された。
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僕をまっすぐ見つめるクマの瞳が目に焼き付いている。
母を頼るような甘えるような子グマの声が耳に焼き付いている。
僕は、この母子グマの命があと数時間しかないという事を知りながら何も出来ることがなく、ただ見ていることしかできなかった。
でも殺される数時間前のクマの姿を僕は目に焼き付け、その写真を見た多くの人が涙を流した。

人知れず殺されるクマもいる。
殺されたことが喜ばれるクマもいる。
泣いてくれる人がいた。それだけでもこのクマにとっては救いになったのかも知れない。

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自然の荒廃?地球の温暖化?原発事故による汚染?野生動物との共存共栄?

山に行く、森を歩く、動物観察をする、その中で自分たち人間の生活を振り返ってみればいい。



先日、多くの人に協力してもらい担ぎ下してきた升沢小屋バイオトイレのし尿オガクズ。
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庭のわずかなスペースに作っている畑に撒いた。
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もともと農地ではないので土は痩せている。
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毎年、透き込みながら畑の面積を広げて行く。

この畑に来年の春、何を植えようかなあ~。



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by mt1500funagata | 2017-10-04 07:38 | Trackback | Comments(0)

もう14年になる・・・
「船形山のブナを守る会」が体験林業で不成績造林地の除伐間伐をし、船形山山頂避難小屋の薪ストーブの燃料としての薪を作って担ぎ上げる活動。
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この写真は平成17年10月7日(2回目の薪荷揚げ山行)の僕とKさん。トーゼンの事ながら二人とも今より12才若い。山頂の小屋が新築されて以来、管理人を委嘱されていた僕ら二人は毎年欠かさずに参加している訳で、14年間10月第一日曜日は薪を担いで船形山の山頂に登っているってこと。

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今年は天候にも恵まれ39人の参加者が集まった。

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ブナの紅葉を見ながらの登り道で、「このコースってこんなに急だったっけ???」とか「なんだか登りが長く感じるなあ~」って言う声がチラホラと聞こえるようになった。
いや!急になったり長くなった訳では決してない、キツく感じる年齢になってしまったということなのだろう。

それでもみんな重い薪を背負って登る。

僕らが薪を荷揚げしようとなった理由のひとつに以下のような事があった。
・・・薪ストーブはあるのに燃料の薪がなかったら、小屋周辺の灌木類が燃やされてしまったり、甚だしい場合は小屋の板をはがしてストーブで燃やすという事例が別な山小屋で実際に起きたりしていた。このような事案が起こらないように薪を十分に補充しておく事が必要なのではないだろうか・・・

紅葉の船形山を楽しみたい!それは勿論だけれど、楽しませてもらっている船形山に対してお返しをしたいって気持ちが根本にあるわけですね。だから重い薪を背負って登る。

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年々、担ぐ薪の量は減って来た。15年目を迎える来年あたりが会としての節目になるかもしれない。

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紅葉の山並みの上の空をアマツバメとイワツバメが自由自在に飛び回っていた。

僕はアマツバメの飛翔する姿を見るのが好きだ。紅葉の山並みには申し訳ないけれど、紅葉を綺麗に撮影することよりもアマツバメをカッコよく撮影するほうに興味はシフトした。

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””この大空に翼を広げ飛んで行きたいよ 悲しみのない自由な空へ・・・””
ヒューン・ヒューンってカッコよく自由に飛んでいるように見えるけれど、アマツバメはこれからの渡りに必要な体力を付けるため必死でエサとなる虫を獲っている訳で、実は僕らよりずっと大変で自由ではないのかも知れない。
でも飛んでいる姿はカッコいいと思う。

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下山途中、升沢小屋に寄ってバイオトイレのし尿オガクズを手分けして担ぎ下してもらった。
小屋の管理人である僕がメンテの度に担ぎ下すことも可能ではあるけれど、参加者が手分けして担ぎ下すことに意味がある。
一年間乾燥させれば臭いもなくなるし、一人一人が背負う量も大したことはない。

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し尿を担ぐってことは、自分のレジャーのために消費する登山から一歩踏み込むってことなんじゃあないかな?って思っている。皆さんもそう思うから進んでし尿を担ぐんじゃないかな?
僕もほかの山に行ったら登山客として登山を楽しむ。今回の皆さんもそうだろう。でも地元の山で一歩踏み込んだ登山を経験していれば登山客として訪れた山に対しても少し違った想いで向き合えるような気がする。

14年間も毎年同じ時期に薪を担いで登り、し尿を担いで下ればいろんなことを思うようになるものですね。


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*今回一緒に薪を担いだ「もときちさん」のブログ記事は↓↓↓コチラ↓
「薪の荷揚げ」「屎尿下ろし」 船形山のブナを守る会:http://tabilogue2.exblog.jp/25782404/
*今回一緒に薪を担いだ「くまぷーさん」のブログ記事は↓↓↓コチラ↓
くまぷーの山遊記:https://kumapuu.com/


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by mt1500funagata | 2017-10-01 20:58 | ブナの会行事 | Trackback | Comments(6)