2017年 05月 02日
アナグマのポートレート
日の出の時間が早くなって、午前4時を過ぎれば窓から見える空は薄く青味がかり、刻一刻とその青は深みを増してくる。
そんな空を窓際で眺めていれば、じっとしていられなくなる。
森へ行ってみよう。ツキノワグマやカモシカと会えるかもしれない。
僕はそう思うとジャケットを羽織り、なにか楽しい出会いがありそうな期待に胸を膨らませてジムニーのエンジンをかける。
彼は(たぶん若いオス)道路わきの側溝から顔を出し、僕の運転するジムニーが近づいて来るのを見ていた。
50m近く一緒に歩いただろうか?短い時間だったけれど、一定の距離を保ちながら僕らは同じ道を歩いた。
彼は森へ帰る間際にポートレートを撮影するのにちょうどいい場所で僕をちらりと見て立ち止まりポーズを取った。
一昨日は山の上から見渡す森に住まう動物たちの姿を想像していたけれど、今朝は森に住まう動物と同じ場所で同じ時間を共有した。
僅かな時間でも同じ場所で同じ空気で呼吸をすると、つくづくそう思えてくる。
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