2017年 04月 22日
船形山麓 愛でる自然・見えざる野生
放送日は近日中ってことで未定ですが、はっきりしたらご案内しますね!
<< 第一章 愛でる自然 >>
星野道夫は言った。
自然には二つの自然があって、ひとつは僕らが目にすることの出来る自然。
もう一つは、僕らが目にすることが出来ない自然というか野生の営み。
訪れる人はほとんどいない。
もし僕らがこの時期にここへ来なかったとしたら、見渡す限りに広がるこのお花畑は誰の目にも触れず、花を落として夏を迎え秋になり、そして雪に埋もれて行くのだろう。
誰に見せる訳でもないのに、こんな可憐な花を咲かせる。
そんな場所が僕は好きだねえ。
もう少し回り込んで尾根から湿地へと下りるつもりだったけど、やめた。
この広い湿原に来る度にツキノワグマの足跡は残雪の上に見ていた。
距離は70~80m、クマは僕らに気づいておらず一心にミズバショウを食べていた。
30分以上に渡ってツキノワグマを眺めていたことになる。
周りにはイワウチワの花が咲き、木々の緑は生まれたてのように瑞々しく、春の日差しは暖かく身体を包んでくれる。小高い尾根の上から眺める自然と野生。
とっても良い時間を過ごすことが出来た。
ニリンソウは最盛期を迎えていた。
そんな一日を過ごして来た。
<< 第二章 見えざる野生 >>
船形山麓 嘉太神林道
先週の日曜日の夕方、カモシカの死体を見つけた。
*この件は県の自然保護課へ報告済み。特別天然記念物であるカモシカは死体を見つけた場合、正規ルートとしては発見者が市町村の教育委員会に報告する。そして県から国へ特別天然記念物の遺失届を提出することになる。
ここでは、僕らが日常の生活をしている時、あるいは眠っている時にも野生の営みは行われている。
センサーカメラをセットしていた。
この戦いはタヌキに分があったようだ。タヌキが去った後にキツネが喰っていた。
ツキノワグマはあとからやって来て、周りのタヌキたちは黙ってみているだけ。
ツキノワグマはカモシカの肋骨をバリバリと喰い、そして自分のものだと周りのタヌキたちに誇示するようにカモシカの首根っこを咥えて山の斜面を登り持ち去った。
おそらく4月16日に死んだと思われる嘉太神林道脇のカモシカ。
僕らが日常の生活をしている時間あるいは眠っている時間の中での野性の営みによって、4月22日には地面に毛を僅かに残すだけになった。
山の中で死んだカモシカは山のケモノたちの手によって一週間で消失した。
僕らが直接目にすることの出来ない、見えざる野生である。
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全て動画撮影ですが、訳あって公開は先送りです。
アパラチアントレイルのような文化が日本にも浸透したらいいなと
思っているのですが、
このビデオをみて熊に対する知識も大事だなと思いました。
人が入らないよりも、一定の地域に人が入ることで
熊のためになるような気がします。
コメントありがとうございます。
超長距離を踏破する=忙しく登山に飛び回る日本人にとっては馴染めないことでしょうね。休暇取得の文化の違いもありますからね。
クマも闇雲に怖がるのではなく正しい知識を持って正しく怖がれば、クマを眺められる回数は増えるけれど、出会い頭の遭遇の回数は減らせると思っています。
僕は「身を置く」という言葉を度々使いますが、慌しくピークハントのための登山ではなく、自然や野生の息遣いを感じに山へ行くのも素敵なことだと思います。
今、僕やkenさんがPCの画面に向っているこの時にも山では野生の営みが繰り広げられているって考えるとワクワクしませんか?山道の脇に残された僅かなケモノの毛の散らばりを見て、何時間か何日か前に行われた野生の営みを想像してみる。植物の名前を図鑑から得た知識も大切だけれど、そこで何かを感じる=感性も僕は大切にしたいと思っています。