2016年 04月 27日
幻のブナ林でテンの声を聞く
それから幾度この森に足を運んだことでしょう。入り組んだ植林作業道は今は荒れて半ばヤブ漕ぎのような道を行く。もちろん案内板なんてある訳がないので、滅多に訪れる人はいない。
って書くと、「チバさんも行くトコまで行っちゃった?」って思われてしまいますが・・・
「天の声」じゃなくて「貂(テン)の声」
森の中でコーヒーを淹れていたら・・・
30mくらい先の木にカラスが舞い降りてきたのが見えた。
にわかに樹上が騒がしくなり、カラスの声となにやら動物の声が交錯している。
刹那、樹上7~8mから黄色っぽいケモノが2匹宙を飛んだ!
同行していた人はサルだと思ったようだ。僕はムササビかと思った。
ケモノが駆ける足跡はすぐ近くに迫って来る。姿を現わした。
テンだ!
テンは逃げてきた方向にいた僕らに気づき直角に曲がり、木の根をジャンプし倒木をくぐり走り抜けて森へ消えた。
カラスも2羽、そのテンを追いかけて樹の上のほうで騒いでいる。
あっと言う間の一連の動きだった。
カラスが居なくなったら、森のほうからテンの鳴き声が聞こえてくる。
カラスに向う威嚇するような声ではなく、誰かを呼ぶようなやさしい声が聞こえてくる。
その声がコチラ↓↓↓
2匹のテンが飛び降りた木からは、か細い鳴き声が応えていた。
テンは春先、樹洞に巣を作り出産し子育てをする。
繁殖期以外は単独行動なのだけれど、この時期に限って家族と暮らすのだそうだ。
樹上の巣にいるテンの子どもをカラスが襲った。
テンの親は叫びながらカラスを威嚇し木から飛び降りて注意を自分のほうに向けさせて子どもを守ったのだろう。
そして、カラスが去ったあと離れてしまった子かつがいの相手に何かを伝えていたのだと思う。
テンが子どもを呼ぶ声は続く・・・。
僕らは早々にこの場を離れることにした。
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