笹倉山とうつし世の女(をみな)

・・・笹倉の秀嶺(ほつね)たまゆら明らみて時雨来たれば空に虹見ゆ・・・
                     原 阿佐緒(大正十年)          
c0294658_0374416.jpg

台風一過の秋晴れの朝、笹倉の秀嶺を見に行った。
昨日は、台風で山に行くのをやめた。
そんな日は、明治・大正・昭和と激動の時代を美しいがゆえに波乱に満ちた人生を送った宮床村生まれの美貌の女流歌人、原阿佐緒の人生を垣間見るってのも、たまには良いかも知れない。

笹倉山の麓、大和町宮床には、原阿佐緒の生家である明治十年ころに建てられた白壁の洋館が「原阿佐緒記念館」として公開されています。
c0294658_038190.jpg

大正デモクラシー期に「スバル」、「青とう」、「アララギ」などで活躍したけれど、歌を読んでみると「かなしみ」が多いように僕は思った。

山村の裕福な家に生まれ、美しく育った阿佐緒は二十歳でシングルマザーとなる。
その後再婚するも幸福とはいえず、歌人であり有名物理学者であった石原純との大恋愛は大スキャンダルとして好奇の目に曝され「アララギ」も破門となった。
その後は大阪まで流れ、酒場のマダムとしての一時期を送ったこともある。
c0294658_0381441.jpg

第一歌集「涙痕」第二歌集「白木槿」第三歌集「死をみつめて」第四歌集「うす雲」自叙伝「黒い絵具」
四十代半ばで宮床へ帰郷し、それからの七つ森の麓での二十数年は歌もほとんど作らず、宮床の人としての生活だったようです。

=================
「笹倉山の蝶」
明治、大正、昭和と女性の生き方が大きく変わった時代を阿佐緒は短歌に体現しながら生きた。女として母としての悲しみ、喜び、苦悩を歌に託して一人で迷いながら生き続けた。苦しく何度も捨て鉢になりそうになりながら、二人の子を世に生かすために。歌壇から忘れ去られ、さまざまに言われてもなお生きた。

・・・うつし世に女と生れてもろともにかなしき道に相へだて泣く・・・

この世に女と生まれて、女ゆえのかなしい道を共に泣く・・・と歌う
「かなしき道」の「かなしき」は、「悲、哀、愛」の道だった。自分はありのままを、女として、母として、弱く迷うばかりの道を、昔からの、そしてこれからの女の人たちへ何かつながるのを探りながら、歌ってきた。
阿佐緒の静かな声は蝶となって風に乗り、笹倉山の山頂の石灯籠へと舞い上がっていくのだった。
(秋山佐和子著 「原 阿佐緒 うつし世に女と生まれて」より)
=================

阿佐緒が生まれ、暮らしていた洋館の窓。
c0294658_231514.jpg

この窓から阿佐緒は、うつし世を眺めていた。なにを想っていたのだろう。
そんなことを考えて窓をながめていたら、ひらひらと一頭の蝶が・・・
c0294658_2312621.jpg

蝶となった阿佐緒が風に乗って、笹倉山の山頂から舞い降りてきたのだろうか。
c0294658_0382886.jpg

蝶の舞う窓辺のガラスの向こうに阿佐緒の面影を見たような気がした・・・。

・・・沢蟹をここだ袂に入れもちて耳によせきく生きのさやぎを・・・

c0294658_0384581.jpg

笹倉山は何度も登っているし、それこそ毎日のように眺めている。
でも、笹倉の麓に生きた原阿佐緒の人生を辿ったあとに見る笹倉山は、今までとは違って見えた。
[PR]
トラックバックURL : http://bunatayori.exblog.jp/tb/20745396
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by 仙台CH at 2013-09-20 00:11 x
うーむ。。。。教養が乏しい小生に、詩の解釈はかなり難しい。。。。。
原阿佐緒さんの生涯は波乱万丈で興味深く読ませて頂きました。
相変わらず写真はプロ級ですね。
Commented by tabilogue2 at 2017-01-29 22:42
原阿佐緒の名前だけ知ってる程度で・・・ あれこれ書き込むことは控えますが・・・
どんな方だったんですかねえ??? 興味が湧いてきました。少し勉強してから 原阿佐緒云々(デンデンではありませんよ 安倍さん)を語りたいと思います。
Commented by mt1500funagata at 2017-01-30 11:58
> tabilogue2さん
七つ森を語る上で欠かすことの出来ない歴史上の人物は、仙台藩五代藩主伊達吉村公、幕末の仙台藩家老但木土佐、そして原阿佐緒かな?って思います。阿佐緒の生涯はドラマチックで失礼な言い方になりますが面白いです。
by mt1500funagata | 2013-09-17 23:36 | 七つ森界隈 | Trackback | Comments(3)